1 魔法師団へ
バーンズ王国第一魔法師団、本部。
俺とマルス、ブライの三人はその一室に案内され、師団長のクーデリアと話していた。
その師団長クーデリア・コートニーはゲーム内でも最強レベルの魔法能力を持つキャラクターだ。
軍服姿で長い黒髪に眼鏡の美女だった。
知的さと凛々しさを併せ持つ美貌や、その強大な能力、そしてどんな強敵にも臆さず立ち向かっていく闘争心で、男女問わずファンが多いキャラクター……それがクーデリアである。
俺にとっても、かなり好きなキャラの一人。
とはいえ、現実にこうして向き合うと、単なるファンとして接することはできない。
この人は近い将来、俺の直属の上司になるかもしれない。
少なくとも魔族の軍団の侵攻中は、それにかなり近い状態になるだろう。
「臨時とはいえ、お前の入団を嬉しく思うぞ、レイヴン・ドラクセル」
クーデリアが微笑した。
「それからブライ・ザック、マルス・ボードウィン。お前たちが魔法学園の三強だと聞いている。この未曽有の時期に、お前たちのような若く強い戦力が加わるのは、非常に頼もしいし、嬉しい」
言って、彼女は俺たち三人をもう一度見回した。
「ようこそ、我が魔法師団第一部隊へ――歓迎するぞ、若き猛者たちよ」
クーデリアが微笑んだ。
と、
「へえ、なかなかの魔力じゃない」
「学生のままここに来る奴なんて何年ぶりだ?」
「君が噂のレイヴン・ドラクセルくん?」
他の隊員たちが部屋に入って来て、好奇心たっぷりの様子で俺たちを見た。
ある者は友好的に。
ある者は挑戦的に。
――っていうか、女が多いな。
しかも彼女たちのほとんどは俺ばっかりジロジロ見ている。
「おいおい、お前たちは演習中だろう?」
「だからこそですよ、団長」
「せっかくだから、彼らにも演習を受けさせたらどうです?」
「そ。先輩としてあたしたちが相手をしますから」
団員たちが口々に言った。
「――ふむ、そうだな。この非常時だ。お前たちには早く慣れてもらった方がいい」
クーデリアはうなり、
「いきなりで済まないが、演習に混じってもらおうか」