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31 学園を防衛拠点に


「今後、魔法学園は魔族に対する防衛拠点の一つになる方向で話が進みそうだ」


 学園長が言った。


「世界でも有数の魔法の専門機関だし、優秀な魔術師の卵も多い。中には君のように魔法師団にスカウトされるレベルもいるからな」


 と、俺を見る。


 学園が防衛拠点に――。

 それはつまり、ここが戦火に巻き込まれるということでもある。


「生徒たちも戦うんですか?」

「魔族が攻めてきた場合、状況によっては戦力としてカウントするだろう。もちろん希望しない者に関しては親元に帰ってもらってもいい。その辺りは柔軟に対応する」


 と、学園長。


「あくまでも本人の意志による。もちろん無理矢理戦いに駆り出すようなことはしない」

「――俺は戦います」


 即答する俺。


「みんなを守るために」

「で、では、私も!」


 キサラが手を挙げた。


「レイヴン様のお傍で――」

「キサラ、今回は授業の実習とは違う。相手は魔族なんだ」

「ですが、レイヴン様お一人で戦わせるなんて嫌です!」

「あたしも戦う」


 マチルダが言った。


「婚約者を一人で危険に陥らせるなんてできないから」

「いちおう言っておくが、生徒だけで戦うような真似はさせない」


 学園長が俺たちの話に割って入った。


「魔法師団の部隊がここに常駐することになるはずだ。希望する生徒はそこに混じり、臨時の隊員として活動することになるだろう」

「学園に籍を置いたまま、ですか?」

「そうだ」

「じゃあ、俺も魔法師団に入れてください。もともとスカウトされてたんだし、大丈夫だと思います」


 俺は学園長に言った。


「キサラ、マチルダ、君たちは待機してくれないか。魔族との戦いがどうなるか分からない。まず自分の身を守ることを考えてほしい」

「レイヴン様――」

「レイヴン――」

「頼む」


 二人に頭を下げる。


「……レイヴン様は私たちよりずっと強い人たちを一緒に戦うんですよね」

「……一緒に戦いたいけど、足手まといになるかもしれないわね」


 キサラとマチルダが唇を噛んだ。


「いや、君たちが自分の身を守ることに専念してくれれば、俺も安心して戦える。足手まといなんかじゃない。それぞれの場所で戦おう、ってことさ」


 俺は二人に言った。


 彼女たちはコクンとうなずいてくれた。

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― 新着の感想 ―
 楽しく読ませて頂いております。  私は購読派なのですが、休載したり途中から雑に為るケースが多いので、著者さんに責任は無いのですが作品が完結するまでは購入を控える様になりました。  月並みですが頑張っ…
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