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29 歴史の変わり目

「さ、さっきのあれ、なんだったんですか!? あれって魔族でしたよね? それにピカピカ光る巨人も! 突然何が起こったのか分からなくて、私ずっとオロオロしていて……」

「あっちは天使だ。たぶん魔族の出現に応じて出てきたんだろう」


 驚きが覚めやらない感じで、早口でまくしたてるキサラに説明する俺。


「天使たちはいったん退いたみたいだし、魔族もとりあえず周辺には見当たらないから、少なくとも学園近辺は大丈夫じゃないかな」

「天使は去ったけど、魔族はどうなんだろう」


 と、マルス。


「うーん……大きな魔力の乱れは感じられないから、奴らも引き上げたか、少なくとも待機状態なんじゃないかな」


 俺はそう推測する。


 魔力の乱れ……か。


 そういえば、以前よりも魔力を感知する能力が上がっている気がする。


 そう、オーラスタイルを身につけたころからだ。


 体内の魔力を感じ取ったり、コントロールしたり……を繰り返した結果、探知能力が鍛えられたのかもしれないな。


 もともとは魔力探知ってそんなに特異な領分ではなかったんだけど――。


「状況がどう変わるかは分からないし、油断はできない。でも、とりあえず現状は小康状態と考えてもよさそうだ」


 俺はキサラを安心させるために言った。


「ちょっと、レイヴン! 大丈夫だった!?」


 さらにマチルダもやって来た。


「あの竜みたいな連中をまとめて倒したり、変な巨人と戦ったり……」

「俺とマルスで追い払ったよ」


 にっこり笑う俺。


「……僕は何もしていない」


 マルスがポツリとつぶやいた。


 ん? なんか今日はやけに暗いな、マルス……。


「それにしても――」


 俺は、地面に転がっている魔族たちの死骸に視線を向けた。


 さっきまで戦っていた竜型魔族たち。


 さらに乱入してきた天使たち。


「天使と魔族、両方が人間界で暴れるとか、明らかにゲームの展開とは変わってる……」


 俺は眉間を寄せた。


 ゲーム本編で起きる魔王大戦は、あくまでも魔王アーヴィスが手勢を率いて人間界に侵攻するストーリーで、天使がそこに介入するなんてシナリオじゃなかったはずだ。


 歴史が、大きく変わっている――?




 ――その日の午後、学園長室で臨時の話し合いが行われることになった。


 俺もそこに出席することになった。


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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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