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19 試練終了


「モノにしたらしいな。まったく、こんな短期間で――」


 魔物が消滅するのと同時に、レイヴンが出現した。


「俺はお前に主導権を奪われてから、ずっと修行して……やっと身に付けたっていうのによ」


 と、不満げだ。


「生まれてこの方、努力なんてしたことのない俺が、お前にならって……なのに、お前はわずかな実戦の中で、もうつかんでしまった――」

「今まで努力を続けてきたからな。この新しい戦闘スタイルも、その応用だよ」


 俺はにっこりと笑って言った。


「アドバイス、感謝する」

「なら、俺に主導権をよこせ」

「それは無理だ」


 苦笑交じりに俺は言った。


「……まあ、いい。とにかくこの体は俺のものなんだ。殺されたりするんじゃないぞ。いずれ俺が大事に使う体なんだからな」

「悪いけど、お前には使わせない。でも、忠告はありがたく受け取っておくよ」


 俺はレイヴンを見つめた。


 同時に、周囲が歪み始める。


 この世界から、そろそろお別れか。


「じゃあな、レイヴン。またどこかで会えるかな」

「ふん、俺はいつでもここにいるさ。ここから出られないんだからな」


 レイヴンが鼻を鳴らした。


「ま、お前が来たら歓迎してやるさ。ここにいるのは結構退屈なんだ」

「なら、いずれまた……遊びに来るよ」




 気が付くと、俺はベッドの上だった。


「夢……いや、違うか」


 俺は確かに精神の世界で、修行をしてきたんだ。


「デモノギア・オーラスタイル……か」


 俺は自分の中にある魔力を感じ取ってみる。


 魔力量自体は、ほとんど変わらない。


 ただ、デモノギアの術式はモノにできた。


 後は練習あるのみだ。


 魔族の力を使って、自分の魔力に着火し、爆発的にブーストするイメージ。


 精神の世界で一度成功したとはいえ、まだまだ確実性には欠ける。


 完全に自分のモノにするまで――もっともっと鍛えなければ。


「レイヴン様……?」


 と、キサラが部屋に入ってきた。


「あ、あの、妙な魔力の高まりを感じて……心配になって……」


 キサラは慌てたような顔だ。


「すみません。寝室にいきなり入るなんて……非常識でした」

「いや、いいんだ」


 俺は微笑んだ。


「よかったら、少し話さないか?」

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