第八話 双翼が唄う至福の合唱
あれから1ヶ月。かつてソロプレイばかりだったこのゲームもタッグで協力する様子が日常になった。私とガルクはすっかり最強のカップル冒険者として認知されている。
1ヶ月経っても私のガルクに対する愛は衰えず、寧ろより深いものになっていった。本当に、私は幸せ者だと思う。こうして愛する人と一緒にいられるのだから。
その日も、私はガルクと共に例のダンジョンに潜っていた。ドラゴン退治後も第五層に到達する階段は発見されず、数々の冒険者達が探索を続けている。私達は未探索エリアを次々走破し、沢山の新モンスターを撃破していた。
そして今は第四層にあるオアシスで休憩していた。私とガルクは隣り合って壁にもたれかかる。かつて見たような光景。
そんな状態で私はプリンを食べていた。甘いものでエネルギーを補給する為。その様子をガルクが見つめてきた。
「ねぇ、カリン」
「何?」
「少し頂戴」
ガルクがそう言って、プリンに目を向ける。お腹が空いているのだろうか。そう思った私はスプーンでプリンをすくってガルクに向けて差し出した。
「いや、そういうことじゃなくてさ」
「はい、あーん」
ガルクは意を決してかそのプリンを享受した。ガルクはすっかり真っ赤になってしまっている。その様子がおかしくて仕方ない。
「どう、味は」
「…とっても甘いよ」
「そう、なら良かったっ…!」
ところが私が言い終わらない内にガルクが寄ってきて口づけをしてきた。更に、唇の間からドロドロに溶けたプリンが流れてくる。あまりの甘さに思わず舌で堪能して、飲み込んでしまう。ガルクがそっと口づけを離した。やけに心臓がうるさい。
「ほら、甘いだろ」
「…そうね」
甘いとかいうレベルではない。とんでもない中毒性に溢れた代物だ。そう思った私はプリンをすくって自分の口に入れると、ある程度溶かしてからガルクに口づけをした。そしてプリンをガルクに流し込む。
「んんっ…!」
ガルクはびっくりしたようだけど、結局それを目一杯堪能している様だった。私は唇を離す。ガルクも私も真っ赤だ。
「甘くて美味しいでしょ」
「うん…とっても美味しい…ね…」
私はプリンの最後の一欠片をすくうと、ガルクに言った。
「もう一個食べる?」
するとガルクはとんでもない返しを言ってきた。
「…プリンよりも食べたいものがあるんだけど」
「へ?何を言って…!」
言い終わらない内からガルクがもう一度口づけをしてきた。あまりに急だったので私はプリンを自分にかからないように落とすのが精一杯。そして唇の間から何かが私の口に入ってくる。それは私の口の中を文字通り蹂躙した。
あまりの急展開に私はどうすることも出来ず、ただガルクのされるがままになっていた。しかし、ガルクにじっと見られた。何かを期待するかのように。
私はガルクの求めるままにガルクの口の中にそれを入れ込む。そして私が持つ精一杯の愛情をガルクにたっぷり注いで、ガルクから送られた愛情をじっくりと嗜んで、そのまま2人は絡み合って、混ざり合って、一つに溶け合っていく。その感覚が私には堪らなく美味だった。
やがてとうとう口づけを離した。
「…どう?満足出来た?」
「…とっても美味しかったよ。ご馳走様」
お互い意識せずにはいられない。気持ちを晴らしたい一心な私は、ダンジョン攻略に戻ろうと立ち上がりかける。ところが、その前にガルクが私の肩を握り言い寄ってきた。
「…もっと味わっても良い?」
が、私が返答するより先にモンスターの雄叫びが聞こえた。声がした方を見ると、大量のオオカミのモンスターがこちらへ迫る。モンスターが入れないオアシスの筈なのに、である。
「…後でね」
そう言うと私は立ち上がりモンスター達と対峙する。
「閃光」
素早く魔法を唱えて剣に雷を付与させるとモンスターを一刀両断した。幸い大した強さのモンスターでは無いらしく攻撃が当たった者はすぐに倒した。
何匹か避けたモンスターもいたけれど
「火球」
ガルクの魔法で燃やされて全部倒すことが出来た。
「…アシストありがと」
「名実共に最強カップルだからな」
ガルクはそう言って笑った。かつて無いほど清清しく、妖艶で、とても、とても美味しそうに見えた。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
初めての「応募のために書いた作品」でしたがいかがだったでしょうか。
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