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鬼面ソルジャーズ・神(Sin)  作者: HasumiChouji
第二章:護国軍鬼
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(10)

「なあ、ある昔のSF小説に妙なネタが載っててさ……」

 2つの伝染病が流行(はや)り始めてから2年以上。

 TV番組や映画の撮影には伝染病感染防止専門のスタッフが付く事が当り前になっていた。

 そして、ウチの劇団も、そのようなスタッフを雇っていた。

 俺は……その手の事が詳しそうな、そのスタッフが感染防止をちゃんとやっているかをチェックしに来た時に、あの件に関して訊いてみた。

「えっと……何の事でしょうか?」

 生物学の知識が有るこの女性なら……何者かが俺に伝えようとしたメッセージと、それに対する俺の推理が妥当かを判断出来るだろう。

「肺炎の菌や他の風邪のウィルスが、別のウイルスに感染して……感染したウイルスや病原菌が人間に感染すると……」

「ああ……なるほど。面白いアイデアですね……。いつ頃の話ですか?」

「書かれた時期はよく判らないけど……舞台は六〇年代だった」

「ただ、ちょっと無理が有りますね」

「と……言うと?」

「例えば、人間と犬の両方、哺乳類と鳥類の両方に感染する病原菌ならいくらでも有ります。……でも、動物と植物の両方が感染するような病気って有ると思いますか?」

 ……あ、そうか……。

「人間と細菌は、動物と植物どころじゃないほど違いが大きいので……その両方に感染するウイルスなんて考えにくいですね。どう云う進化圧が働けば、そんなウイルスが生まれるか……すぐには思い付かないですね」

「進化圧って……ええっと『ある生物が、今の姿に進化した原因』って意味?」

「ええ……どう云う原因や理由や環境から……そんな風に進化したか、見当が付きません。まぁ、今流行ってる2つの病気の関係を推理したSFのアイデアとしては面白いですが……ちょっと、SFはSFでも『リアル寄り』じゃない話になりそうですね」

「えっと……もし……そんなウイルスが有り得るとしたら……」

「う〜ん……あえて言うなら……生物兵器ですかねえ……」

 待て……あの小説では、たしか……。

「それも……現代より遥かに進歩したバイオテクノロジーで……既存のウイルスを『改造』して作ったんじゃない、一から対人間用に設計され作られたバイオ兵器……ですかねえ……?」

 違う……ここだけは違う……。あの小説に出て来た生物兵器は……偶然出来たモノだった。元々は地球外由来の生物を細菌兵器として使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、逆に洒落にならない代物が生まれてしまった、と云う設定だった。

 しかも、当然ながら遺伝子組み換え技術なんて影も形も無かった時代が舞台の話……。

 望む性質を持つ生物兵器を作るにも……「一から設計」には程遠い、行き当たりばったりの方法しか無いと云う内容だった。

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