表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の妹が幼女でかわいすぎて神。マジ神。幼女神。妹幼女神。  作者: 坂東太郎
『第一章 妹は毎日かわいすぎて神』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/16

第一話 朝の妹もかわいい


「おはよー、ヒメ」


「んみゅぅ……」


 俺が声をかけると、ヒメはこてんと寝返りをうった。

 もぞもぞ動いて、小さな手で掛け布団のはじっこをきゅっと握る。かわいい。


「ほら、朝だぞー。起きないと遅刻しちゃうぞー」


「んんー……抱っこぉ」


「はいはい。ほら、おいで」


「えへへ……」


 ふにふにの手を広げてきたヒメに体を近づける。

 ヒメは俺の首にしがみついてきた。

 ので、腕を差し込んでぐっと持ち上げる。

 もう16歳、高校二年になった俺にとって、5歳の妹は軽いもんだ。

 やわらかい。あったかい。かわいい。


「ヒメはヒメだからお姫様抱っこが好きなのかな?」


「んむぅ」


 ヒメ→姫子→お姫様抱っこって、名前と掛けたことを言っても応えはまともに返ってこない。

 いつもはくりくりした目は半開きになったりまた閉じたりで、まだウトウトしてるみたいだ。

 俺の胸に頭をぐりぐりしてくる。

 ちょっと茶色っぽくてボリュームのある髪がくすぐったい。朝が弱い妹かわいい。


 寝ぼけるヒメを抱っこしたまま部屋を出て、階段を降りる。

 ドアをお尻で押してリビングダイニングに入る。


「よいしょっと。一人で座れるかな?」


「んん……」


 ダイニングのちょっと背が高いイス——ヒメの特等席——にそっとおろすと、ヒメはこしこしと目をこすった。


「おはよー、ヒメ」


「お兄ちゃんだ。おはよー」


「はいお兄ちゃんですよ。ヒメ、今日はパンがいい? ご飯がいい?」


「んー、パン!」


「了解、ちょっと待っててね」


「はーい」


 頭が起きてきたのか、ようやくヒメが挨拶してくれた。

 キッチンに向かう。

 気になって振り返ると、ヒメはちゃんとイスに座っていた。お利口すぎる。


 食パン(8枚切りのヤツ)をトースターにセットして、俺はひとまず、小さなコップに入れた牛乳とフルーツジュース(糖分控えめのヤツ)をヒメの前に置く。

 と、ヒメは両手でコップを持って、こくこくと牛乳を飲んだ。


「ぷはー」


「いい飲みっぷりだなあ。おかわりはいる?」


「うんっ! あのね、ぎゅーにゅーをのむと大きくなるんだって!」


「おーそっか、偉いぞヒメ! けどあんまり飲みすぎないようにね、お腹壊しちゃうから」


「はーい!」


 少しだけおかわりを注ぎ足して、俺は朝食の支度を再開した。

 ヒメにはトーストとジャムと目玉焼きとソーセージに野菜スープ。

 俺はご飯とみそ汁、おかずはヒメと同じ目玉焼きとソーセージだ。あと納豆。

 ちなみに、ヒメが「ご飯」を選んだ場合は俺がトーストになる。

 妹より優先される兄がいようか、いや、いまい。


 スマホを取り出して、はむっと食パンにかぶりつくヒメを撮る。

 盗撮じゃない。

 行儀も悪いけど仕方ない。


 アプリを起動する。

 我が家のグループチャットにヒメの写真を送る。



ミコト:おはよう父さん母さん。今日のヒメの寝顔と朝食風景です


高原 豊:ありがとうミコト! 今日も娘は天使のようだ!


よしこママ:おはよう、ミコト。毎朝ありがとう。ほらパパ落ち着いて


高原 豊:すまん。おはようミコト。はあ、次に娘に会えるのはいつになるのか


ミコト:違うぞ父さん、ヒメのかわいさは天使じゃおさまらない、神だ!


高原 豊:おおっ! よく言った! それでこそ我が息子!


よしこママ:はあ、ほんと我が家の男たちは……ゴールデンウィークには日本に帰るからそれまでヒメのことをよろしくね。ミコトもちゃんと勉強すること


ミコト:了解。ちゃんと勉強してるよ。お兄ちゃんとして尊敬できるところを見せないと!


高原 豊:GW……あと一ヶ月近く先か……くっ、こうなったらこっそり空港に向かって飛行機に飛び乗って


よしこママ:ほらほら、ヒメに嫌われちゃうわよ。ミコトを見習ってお仕事しなさい


ミコト:んじゃまた明日。何かあったら連絡します



 海外赴任中の父とついていった母に毎朝写真を送るのも、5()()の妹の世話をするのも、()()8()()の日課だ。


「ごちそうさまでした!」


「はい、お粗末さまでした。ここは片付けておくから、ヒメは着替えてくるといいよ」


「はーい! ありがとう、お兄ちゃん!」


「ふへ、おっと。着替えはヒメの部屋に出しておいたから。リュックも忘れないようにね」


「もうーわかってるよー。ヒメ、ねんちょーさんなんだよ?」


 ぷくっとほっぺをふくらます妹かわいい。

 成長を自慢するけど高いイスから一人でおりられないの(いと)しすぎる。

 崩れそうになる顔をこらえて、一人で着替えられるようになった妹をイスからおろす。


 ヒメは、ついてこないかチラチラこっちをチェックしながら、一人でリビングダイニングを出て階段をあがっていった。


「さて、俺も準備するか」


 ヒメを起こす前に自分の支度は終えている。

 あとは、保育園セットを準備するだけだ。


 さっと食器を洗って、俺は連絡ノートを開いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ