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俺の妹が幼女でかわいすぎて神。マジ神。幼女神。妹幼女神。  作者: 坂東太郎
『第三章 駄々をこねる妹がキュートすぎてお兄ちゃんはふしぎなおどりを踊った』
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第四話 がんばって説明する妹もかわいい


 ひとしきり踊って、ヒメの汗を拭いて水分をとらせて。

 ソファに座ると、ヒメは俺の前でもじもじしていた。

 くっつきたいけどお兄ちゃん怒ってないかな、ヒメのこと嫌いになってないかな、みたいに。

 不安げな妹もかわいいけど妹を不安にさせるなんてお兄ちゃん失格だ。


「ほら、おいでヒメ」


「うんっ」


 うつむいたままヒメが手を伸ばしてくる。

 ので、両脇に手を入れてひょいっと持ち上げる。

 座らせたのはヒメの特等席、というか俺が至福になる席だ。

 つまり俺のヒザの上だ。

 やわらかい。いつもよりちょっとあったかい。


「ええ……? 向かい合う感じで……?」


「ふふ、ヒメちゃんはミコトくんと仲良しなのね」


「え、お母さん、これ仲良しっていうかもう恋人同士の感じじゃない?」


「何言ってるんだ千花、兄妹は結婚できないぞ」


「知ってるけども! 私が言われるのは理不尽かなあって!」


 千花と百華さんは、L字ソファの横側に座ってわいわいしてる。

 ヒメはべたっと俺の胸に顔を埋めて、話に入ってこない。

 左手でそっとヒメの背中を撫でる。

 ちっちゃいし細いし何があっても守りたい。


 ヒメが自分から話し出すまで、くっついて背中を撫でて。

 しばらくすると、ヒメがおそるおそる見上げてきた。

 くっ、潤んだ瞳で上目遣いの破壊力ヤバい!

 姫かわいすぎてお兄ちゃんのハートがおかしくなりそう!


「お兄ちゃん、おこってる?」


「ん? ぜんぜん怒ってないよ。お兄ちゃんは、むしろヒメが『イヤなことはイヤ』って示せるようになってうれしいんだ」


「しめせ?」


「えーと、『言わないけど見てわからせる』ってことかな。示せるようになってえらいぞヒメ」


「ヒメ、しめせせする」


「そうだな、わかってもらえるようになろうな。けどお兄ちゃん、言葉で言ってくれた方が嬉しいなあ」


「うん……」


「だから、お兄ちゃんに教えてほしいんだ。ヒメは何がイヤだったのかな」


「えっとね、ヒメ、お兄ちゃんのことが大好きなの」


「うん。うぇへへへへ。うんうん、それで?」


「ミコト? いま何かおかしくなかった?」


「しっ。私たちは静かにしてましょうね、千花」


「でもね、ヒメ、はさみこわいの。じゃきじゃきーって」


「そっかー。ハサミが怖いのかな? それともハサミの音が怖いのかな」


「うーん。おと!」


「なるほどなるほど。ヒメはハサミの音が怖かったんだね」


「うん。でも、ヒメ、がんばろーとおもって、でもこわくて、わーってなっちゃったの」


「そっかそっか、わーってなっちゃったのか。どうだろ、次からは言葉で言えそうかな?」


「んん……」


 きゅっと眉を寄せて考え込むヒメ。

 真剣かわいい。


「うっわ、何これヒメちゃんかわいい……」


「あら、千花もすっかりヒメイトね」


「それ通じるんだ、どこまで広がってるのちょっと怖い」


「ヒメ、がんばる!」


「おおっ、えらいぞヒメ! 説明をがんばる決意ができてすごい!」


「えへへ……」


 俺の服をぎゅっと握ったヒメをハグする。

 頭を撫でまわす。


「もうこれ恋人同士というか親子じゃない? 親バカなお父さんじゃない?」


「ふふ、千花ったら。じゃあ誰がお母さんなのかしら? ひょっとして」


「そそそそんなこと考えてないもん! 何言ってるのお母さん!」


「そう、じゃあ私がお母さん役やろうかしら。経験者ですもの」


「だめ! なんの経験なの!」


 なんか千花と百華さんが騒いでるけどスルーする。

 いまは二人よりもヒメとの時間の方が大事だ。


「お兄ちゃんもがんばるからな、一緒にがんばろうな」


「うんっ! えへへ……」


 ようやく俺が怒ってないって確信持てたのか、ヒメがちょっと涙ぐんでる。(いと)しすぎる。

 妹の嬉し涙と安堵の涙は俺が拭いたい。

 悲しい涙はぜんぶ消し去りたい。


「えっそれもう恋人じゃない。落ち着いてミコト」


「ほらほら千花、もうしばらく二人の世界にしてあげましょう。いまミコトくん、独り言が漏れただけみたいよ」


「お兄ちゃん……さっきは、ごめんなさい」


「うん。ちゃんとごめんなさいできてえらいぞヒメ! お兄ちゃん気にしてないからな!」


「えへへ……」


 ヒメが胸にぐりぐりしてくる。こそばゆい心地よい。


「ふう、一件落着ね。それでミコト、ヒメちゃん。なんでこうなったの?」


「ああ、そろそろヒメの髪を切ろうかと思ってな。けどハサミの音が怖いって」


「あー、耳元でイヤな音するもんね。ちょっとわかるかも」


「あら、千花も子供の頃はぎゃんぎゃん泣いてたわよ?」


「ちょっ、お母さん!」


「…………千花ねえもはさみのおと、こわい?」


「そうね、いまもちょっと苦手かも。だからヒメちゃんも怖くてしょうがないかなー」


「ヒメといっしょだね!」


「くっ、ズルイぞ千花! 俺もハサミの音が怖いなあ!」


「ミコトくん……」


「それだけひっついてるのに、もっと『一緒』を求めなくてもいいんじゃないかな……」


 千花と百華さんがなぜか呆れた目で見てくる。

 なんでかわからない。

 かわいすぎる妹と同じ感性を求めることに何の疑問があろうか。いや、ない。


「かみ、きる? じょきじょきする?」


「ヒメはがんばれるかな?」


「うう……」


「ヒメはいまもかわいいけど、お兄ちゃん、髪を切ってもーっとかわいくなったヒメが見たいなあ」


「うん……」


「そうだ! 明日、もーっとかわいくなったヒメとお出かけしよう!」


「おでかけ? どこ? どこいくの?」


「どこがいいかなあ、遊園地か水族館、動物園もいいなー」


「ゆうえんち!? すいぞくかん!? どうぶつえん!」


「もーっとかわいくなったヒメと、おめかししてお出かけしよう! ヒメはどこがいい?」


「うんとね、お兄ちゃんといっしょなら、ヒメどこでもいい!」


「おうっふ……かわいい……妹が控えめかわいすぎる……ありがとう神様……ありがとう姫様……」


「よかったねヒメちゃん、がんばって髪切ったら、明日はミコトとデートだって!」


「いやデートではないけど? 兄妹でお出かけするだけで」


「そこは否定するんだ。もうミコトの感覚がわからないよ……」


「簡単よ、千花。ヒメちゃんはミコトくんが愛する妹で、恋人でも娘でもないってこと。立派なお兄ちゃんね」


「ありがとうございます!」


「りっぱなお兄ちゃん!」


「うぇへへへありがとうヒメー。ヒメは立派まくる妹だぞー」


「えへへー」


「うん……なんだろ、私ちょっと疲れちゃった……立派まくるってなに……」


 なんだか肩を落とす千花を無視して、ヒメと視線を合わせる。

 そっと頭を撫でて問いかける。


「ヒメ、お兄ちゃんに髪を切らせてくれないか? お兄ちゃん、ヒメが少しでも怖くなくなるようにがんばるから」


 ヒメは一瞬だけ眉を寄せて、けど、言い切った。



「ヒメ、がんばる! それで、あしたお兄ちゃんとおでかけする!」



 うう……5歳の妹の成長を見て泣かないお兄ちゃんがいようか、いや、いまい。


 俺の妹の成長が早すぎて筍かわいい!




今週はもう一話(短め)投稿して、今章を終わりにする予定です。予定では。


悪ノリと勢いで書きはじめた本作、

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