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第27話 イルカが本体?

ここ2ヶ月くらいがリアル(?)で忙しくて更新が遅れました。

申し訳ないです。

「ギルド内での私闘は禁止ですよ!」


寄ってきた職員さんはそう言った。お約束だ。とうより、施設内乱闘が許可されているまっとうな組織なんか無いだろう。


「どうもすいません。この子にはちゃんと言い聞かせておきますので。」


女の子はそう言ってイルカを撫でた。


「まあ、あの冒険者は元々素行に問題がありましたし、アオさんが被害者でしょうから、そう言うなら不問にしますけど。」


あの女の子、アオっていうのか。青?青いから?名前なんかは翻訳されて無いはずなんだけどな・・・。

ギルド職員が業務に戻っていくのを見届けてもう一度声をかける。


「アオっていうんだな。俺はユート。青級冒険者だ。」

「アオです。この子はルーコン、こっちの子はコルドです。」


そう言ってイルカと猫を撫でる。背中に背負った猫は撫で辛そうだ。


「それって?さっき魔獣って聞いたんだけど。」


イルカと猫が気になっていたので思い切って聞いてみる。あ、冒険者の詮索はダメなんだっけ?


「この子達は私の従魔ですよ。私の家はテイマーの家系なので、冒険者になる際にお母さんから譲られました。」


お母さんもイルカを纏わせて、猫を背負って戦ってたのか。少女じゃなければなかなかシュールだ。いや少女でもシュールだが。


「しかし私はヒーラーでもあるのです!むしろそっちが本業なのです!」


そう言ってふんすと胸を張る。


「へぇ、ヒーラーなんだ。俺も一応はヒーラーなんだよ。」

「そうなんですね。ヒーラーの先輩として何か分からないことがあったら遠慮なく聞いてください。」


赤級でテイマーで本職はヒーラーか。もしかして凄い少女なのかもしれない。


「蒼いオーロラがヒーラーって知ってたか?」

「いや、聞いたこと無いな。」

「あ、俺はあるぞ。魔物との戦闘で怪我をしたところで偶然会った奴がいるってよ。なんでも魔法で擦り傷を治してくれて、切り傷には布を巻き付けて去っていったって。」

「布?魔法は?」

「擦り傷を治したところでフラフラになって。『今日はこの辺で勘弁しといたろか。』って言ってたってよ。」

「何を勘弁するんだよ・・・。」


そんな冒険者達の話が聞こえてきた。

・・・。

赤級まで登り詰めたのは、母親から貰った魔獣のおかげなんだろうか。


「トリアの騒ぎの中で見かけたけど、その後姿を見かけなかったから少し心配してたんだ。」

「そうでしたか。ご心配をおかけしました。あの時は赤級として多くの場所に救援に行こうと駆け回っていたので。」

「そうなのか。まあ無事でよかったよ。」

「ユートさんも。」


赤級としての自覚はしっかりしてるんだな。しかし本業がヒーラーだって言ってるのに、治療に回るんじゃなくて討伐して回ってたんだな・・・。


「ユートさん、依頼を見に行きますよ。」

「それより先に依頼完了を届けましょう。」


後ろでやり取りを見ていたフィーユとリンディが、しびれを切らせて進言してくる。


「そちらは?」

「ああ、俺のパーティメンバーなんだ。」

「そうでしたか。アオです。よろしくお願いします。」


アオはフィーユ達にも丁寧に自己紹介して頭を下げた。


「あ、ああ。黄級のリンディだよろしく。」

「青級のフィーユです。よろしくお願いしますね。」


二人は赤級冒険者が下の者にも丁寧に接しているのに面食らったか、戸惑いながらも自己紹介を返す。

ちなみに正式にはリンディは黄級である。元々緑級だったが騎士になった際引退。フィーユのお供に付く為に再登録したが、期間が開いていたため1段階の降格になったのだ。


「お邪魔しましてすいません。それでは私は行きますね。」


そう言うとアオは掲示板を見に行った。


「ほら、私たちも行くぞ。」


リンディに急かされ、俺達もカウンターへ向かう。

そこにはさっきの職員のお姉さんがいた。


「あら、さっきの。アレは万年黄級から抜け出せない困った冒険者でね。青級に絡むことでストレス発散しているようなどうしようもない男だから気にしないでね。」

「赤級に絡んでいたが・・・。ウチのリンディも元緑級だし。」

「・・・そういう見る目の無さも万年黄級ってことです。」


なかなかに厳しいね。お姉さん。


「ところでご用はなんですか?」

「ああ、そうだった。依頼完了の報告です。」


お姉さんにサインの入った依頼票を渡す。


「確認します。あら?リチャードさんの依頼ですか。それもS評価だそうですよ。あのリチャードさんからS評価を貰うなんて凄いですね。」


S評価?評価なんてのも記載されているのか。薬草採取やゴブリンの時は聞いてないぞ?

リンディ先生~。


「薬草採取やゴブリンの討伐なんかは、ギルドが出している依頼だからな。依頼主がいるようなものは、結果に応じて評価が付く。評価に応じて報酬額が変わる場合もあるし、昇級する場合の参考にされる。因みに依頼を達成していれば、低い評価でも基本の報酬額を下回ることはない。ギルドからの評価は下がるがな。」


分かりやすい説明ありがとうございます。先生。

なるほど。さっきのハゲ男は毎回評価が低くて昇級出来ないんじゃなかろうか。


それはそうと


「リチャードさんって有名なんですか?」


なんかお姉さんが1人で盛り上がってたので気になったのだ。


「リチャードさんは王都でも有数の商会主ですよ。貴族や王族にも顔が利きますし、かなりのやり手です。」

「そうなのか?」


俺はリンディを見る。冒険者時代に王都にも何度も来ていたリンディなら、知っていたのではないだろうか。


「ああ、そういえば聞いたことがあるな。しかし私が知っているのは中堅位の商会だし、王都には無数に商人がいるからな。特に気にはしていなかったな。」

「ああ、リチャード商会が今のように大きくなったのは最近ですからね。」

「最近?」

「そうなんです。それまでは先程仰っていたように中堅の商会だったんですが、数年前から事業を拡大し始めて、あっという間に大きくなっていったんですよ。」

「へえ・・・。」


急に大きくなった商会。貴族との繋がりもある。

リチャード本人を思い出してみてもそんな人物には思えなかったが、条件としてはだいぶん怪しい。もしかしたら例の貴族との繋がりもあるのだろうか。

後でリチャード商会に行ってみるか。


「まあ、とにかく依頼完了お疲れさまでした。こちらが報酬ですね。」


お姉さんから報酬金を受けとる。


「ではどんな依頼があるのか見に行きましょう。」


フィーユがワクワクしながら言う。


掲示板の前まで来てみたが、既にアオの姿は無かった。

とりあえず依頼票を眺めてみる。


「おお、さすが王都、色々あるな。」


モンスター関係でもゴブリンからレッドドラゴンなんてものまである。

火竜の逆鱗の納品依頼なんてのもあるぞ。レア素材じゃないか。いや、この世界では知らんけど。そもそもレッドドラゴンと火竜ってどう違うんだ。

リンディ先生によると、レッドドラゴンの素材を『火竜の○○』というらしい。いよいよどっかのゲームかよ。


「それじゃ行くか。」

「何か受けないのか?」


リンディが掲示板を離れようとしたので聞いてみる。


「今からじゃどれも無理だろ。後日やるために受けてもいいが、それなら日を改めて朝に来る方がもっと色々あるぞ。」

「なるほど。それもそうだな。それじゃこれからどうする?」

「宿を確保しておきたいが、そのまま宿にいるのにも中途半端な時間だ。どこか行きたい場所でもあるか?」

「歩き回ってフィーユは大丈夫なのか?」

「あまり目立つようなことをしなければ大丈夫だろう。」

「そうか。なら早速リチャードさんの店に行ってみないか?」


他の意見も上がらなかったので、俺たちは宿を確保し、リチャードさんの店に向かうことになった。


因みにここの宿は普通に大人がやっていた。そりゃそうか。

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