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第24話 王都へ出発!その前に準備ですよ。

リアルが少し忙しかったので、大分更新までが開いてしまいました。

 俺達はギルドへ行き、リンリルの冒険者名変更を行った。

 特に何か不審に思われたりはないようで、すんなりと変更された。

 これからリンリルはフィーユとなる。


 続けて依頼の貼ってある掲示板へ向かう。

 さすがに時間が時間なだけあって、掲示板に貼られている依頼は少ない。


「うーん、ないですね。」


 フィーユが掲示板を眺めて言う。


「ひとつあるな。」


 俺は掲示板の隅に、残っている護衛依頼を指差す。


「なになに。ディープブリーまでの護衛。どこだそれ。」

「ディープブリーは山脈を越えた先にある街だ。険しい道と、強力な魔物がいるしな。そんな道程の上、帰りの商隊も期待できない。修行で一方通行のような冒険者でも無い限り受けない依頼だな。」

「なるほど。でもこれの他には護衛以来はないな。」

「どうする?明日もう一度確認するか?」


 俺達がそんな相談をしていると、依頼受付のカウンターから焦ったような声が聞こえてきた。


「どうしても今日中に出発しないといけないんだが、なんとかならないだろうか?」


 見ると少し腹の出た男が、カウンターで受付嬢に懇願している。


「依頼は出しますが、時間が時間ですのであまり街に冒険者は残ってませんよ?今いる冒険者は近場で軽い依頼をこなしているような者ばかりです。」

「そこをなんとか。」

「なんとかと言われましても。」

「折角まとまった商談なんだ。今日中に王都へ向けて出発しなければ。王都行きなんて人気があるから、なんとかならないもんなのか?」

「この時間から出発する護衛依頼を受けに来る冒険者なんて、まずいませんよ。」


 俺達は商人らしい男が交渉しているカウンターへ向かった。


「あのう。ちょっといいですか?」

「なんですかな?こちらは少し急いでまして。」

「いや、王都行きの護衛依頼って聞こえたんですけど。」

「そうだ。出きるだけ早く王都へ帰って、今日の商談でまとまったことの準備をしなければならないんだ。」

「ちょうどよかった。俺達、王都行きの依頼がないか探してたんですよ。」

「えっ!?」


 そう言うと商人は驚いた顔で俺達を見返した。


「えーと、すまんが冒険者の等級はいくつなのかな?」

「青です。あ、こっちのリンディは緑ですよ。」

「緑がいるといっても、残りは青が二人。うーん・・・。」


 俺が等級を告げると真剣に悩みだした。そりゃそうだよね。今日なりたての冒険者だって青なんだから。俺もそんなに変わらないし。

 と、思っていると、受付嬢からの助け船が入った。


「大丈夫ですよ。こちらのユートさんは、最近冒険者登録されたばかりで等級はまだ青ですが、凄い回復魔法の使い手です。それに戦闘にしてもオーガくらいなら倒しちゃいますよ。」


 と、そんなことを言う受付嬢さん。オーガとかそれ言っちゃうの?


「ほ、ほんとなのか?回復魔法?それにオーガって・・・。」

「ええ、本当です。回復魔法についてはギルド職員もお世話になりましたので、ギルドが責任を持って保証しますし、オーガだって先日実物を持ち込まれています。」

「本当なのか・・・。すまん!助かる。王都までの護衛、引き受けてくれるか?」

「ええ、いい・・・。」


 俺が商人の言葉に快諾しようとしたところ、リンディが横から止めた。


「ユート。依頼の内容や報酬などを聞かずに返事をするな。」

「あっ、そうか。すまん。」

「あぁ、そうだな。すまんすまん。なら準備もあるだろうし、2時間後の出発ということ、急ぎということで王都までの片道で金貨1枚でどうだろうか?」


 どうだろうかと俺に問われても、護衛の相場なんかわからない。

 そう思ってリンディに助言を求めた。


「王都行きは人気があって、多少条件が悪くても引き受ける冒険者はいる。その為、相場はかなりいい条件でも大銀貨5、6枚だ。」

「好条件の更に倍か。引き受けていいな?」

「いいだろう。急ぎなのに準備の時間まで取ってくれてるんだ。」

「オッケー、ということですので引き受けます。」

「ありがとう!助かるよ。」


 俺達の話は纏まるのを、受付嬢がジト目で見ていた。


「あのぅ、冒険者への依頼は一応ギルドを通してくださいね。」

「「「「あっ。」」」」



「さて、2時間という時間を貰ったから旅の準備をするぞ。」

「そうだな。」

「で、何を用意したらいいんだ?」


 異世界の旅なんて初めてだ。遠足の準備とは訳が違うだろうから聞いてみた。


「ユート・・・。お前はここまで旅をして来たんじゃないのか?」

「えっ?あっ、いやほら。冒険者としての旅は初めてだからさ。一応聞いておこうかなって、な?」


 危ない危ない。

 日本から直でそこら辺に転移したなんて言えないもんね。


「まぁいい。まず水と食料だが基本は自前だ。雇い主が出してくれる場合もあるが、そういう場合は条件に記載されている。今回は特に明言もされていなかったから、用意しておくのがいいだろう。後は野営時に使う毛布、雨をしのげる撥水性のいい革のマント、それから回復アイテム等の類いだな。」

「水は魔法で出せるし、回復魔法もあるからアイテムはそんなに要らないな。あとは試してないけど雨も魔法でなんとかなると思うぞ。」


 魔法で代替できるところをあげていく。


「ユート、そんなになんでもかんでも魔法を使っていたら、旅の途中で魔力が枯渇するぞ。」

「え?そうかな。」

「当たり前だ。魔術師やヒーラーがいるパーティでも水や回復アイテムは持っていく。それなのにこっちはお前一人だぞ。」

「枯渇したことがないからわからん。」

「お前・・・私を治癒した時はどうだったんだ?かなりの大魔法を行使したと聞いているが、倦怠感とかあっただろう?」

「倦怠感?いや、何もなかったけど。」

「・・・は?」

「うーん、そもそもその前に攻撃魔法を連発していたし、ずっと身体強化で移動してたしな。というか、その後ギルドへ行ってそこの職員に同じような回復魔法をかけたぞ?それからそのままリンディ達と薬草採取に行ったじゃないか。」

「・・・さすがにその後は疲れただろう?」

「確かに、慣れない事の連続で疲れたな。濃い一日だった。」

「魔力枯渇の疲れでは?」

「疲れたって言っても精神的なモノだぞ。倦怠感とかは無かったなぁ。」

「そうか・・・。いや、もういい。ユートがおかしいというのは薄々わかっていた。」

「ひどい言い方じゃない!?」


 リンディの中での俺の認識がまた変わったようだ。


「それじゃまず食料だな。うまいの買おうぜ。」

「何言ってるんだ。旅の食料といえば保存のきく干し肉等が一般的だろう。味に期待はするな。」

「干し肉か。確かに王道だ。じゃ、それも買おう。」

「話を聞いているのか・・・。」


 呆れるリンディ達と共に、食料品を売っている店を周り、新鮮な肉や野菜、塩などの調味料を買った。さすが異世界、いや中世というべきか?塩はそこそこ高かった。胡椒も売っていたがこれはすごく高かった。もちろん買ったよ?少しだけど。

 ついでに屋台で売っていた旨そうな串焼き肉も買った。


「そんなに肉や野菜を買ってどうするんだ・・・。旅というものをわかっているのか?串焼き肉なんか食べる頃にはカチカチだぞ?」

「なんでだ?収納魔法に入れてるんだから入れたときのまんまだろ?」

「・・・は?」


 今日のリンディはよくポカンとするな。


「いや、いやいやまてまて。今なんて言った?入れたときのままだと?」

「え?そういうもんじゃないのか?」

「そんなわけがあるか!収納魔法はただ持てる量が増えるだけだ!」

「そうなのか?でも。」


 俺はオーガを倒した後、手当たり次第に周りの物を放り込んでいた時の草を出した。


「なんだ?」

「オーガを倒した後、収納魔法を見せるために色々入れてただろ。あの時の草だよ。」

「萎びてないな・・・。それどころか今取ったばかりのような・・・。」


 少し考えた後、リンディは考えるのをやめた。

 別に衛星軌道を回ったりしない。


「次はどうする?できれば武器を見てみたい。」


 そうなんだ。いまだに俺は素手なんだよ。参加してたイベントでは長物禁止だったからな。必殺技は幼女パンツパンチです。パンツパンチ・・・言いづらいな。


「武器?ユートはヒーラー、もしくは魔術師だろう?ロッドとかか?」

「いやいや、なんかカッコいい剣とか欲しいんだよね。」

「剣?心得はあるのか?」

「無いな。」

「じゃあ剣はやめておけ。ユートの力で技術もなく剣を振ったらすぐに折れるぞ。」

「えー?マジかよ。」


 想像していたカッコいい冒険者スタイル、即終了です。


「まぁ、確かにユートは近接戦もするからな。近接?ヒーラー?なんかよくわからんが行ってみるか。」


 そういうわけでやって来ました街の武器屋。

 いやぁ、異世界ファンタジーの武器屋だよ!これは男の子はテンション上がるよ?まじで!

 俺は目についたカッコいい剣を手に取ってみる。


「折れると言っているだろう。」


 手に取っただけじゃないか・・・。

 仕方がなく他の武器も見て回る。あれもカッコいいなぁ。


「ハルバートか?剣より技術がいるぞ?」

「むぅ・・・。」


 俺がウロウロしていると店員が寄ってきた。


「何か探しているのか?」


 典型的な武器屋の親父といった男が声をかけてくる。


「うーん、距離を取って戦いたいから長めの武器がいいんだけど、なんかいいのあるかな?」

「そうか、うーん・・・おっ、そうだ。ちょうどいいのがあるぞ。」


 そう言って親父が持ってきたのは棒だった。


「棒?」

「バトルスタッフだ。かなり長めに作られていて、過度な装飾はないが黒鉄製で頑丈だぞ。」


 俺は某戦闘民族の男が、少年期に使っていたような棒を手に取る。

 なんかしっくり来るな。まぁ、棒だし。


「いいんじゃないか?棒術も技術はいるが、それならただ振り回しているだけでも十分だ。」


 うーん、いや待てよ。考えてみると棒術もカッコいいな。


「じゃ、これください。」

「あいよ。防具はいいのか?」

「これだけでいいよ。」

「そうか。ま、確かに立派な装備してるもんな。」


 立派じゃねーよ。手芸屋で売ってた布だよ。っていうか、俺が装備したら何故か幼女のパンツ以外は防御力ゼロなんだよ。

 さっき手頃な盾を手に取って鑑定してみたら、防御力がゼロになったのでそっと戻したのだ。戻してみるとちゃんと防御力が戻った。

 これはいよいよ神のじじいの仕業だな。わざわざ装備したら防御力がゼロになるなんておかしいだろ。


 俺達は店を出て、他に必要そうな物を見て周り、集合場所の街門へ向かったのだった。

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