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異世界で時間停止チート+掲示板  作者: 愛卯
試練のダンジョン
4/5

4話 今自分達にある物は

 



「これはしばらく落ち着きそうもないな……」



 まさに阿鼻叫喚と言った有様で、助けを求める言葉が延々と続いている。

 具体的にどうなっているのか分かりもしないし、問い掛けたとしてもきちんとした答えが返ってくるとは思えない。

 というか、既に何人かがどんな状況か聞き出そうと試みて、感情的に返事されて困っているようだ。


 掲示板の画面を、画面上にあった戻るボタンで閉じ、メニュー画面に戻す。



「ひとまず、ステータスから順に確認していくか」



 ==============

 ステータス

 薄墨(うすずみ)進雄(ゆきお) ♂

 ジョブ 魔王 レベル1


 スキル

 魔法 ダーク


 アビリティ 時間停止

 ==============



「うーん……簡潔。どの単語触っても詳細とか出ないし」



 ステータスに表示されたのは俺の名前、薄墨(うすずみ)進雄(ゆきお) と、性別。

 あと、転生前に選択した魔王というジョブだった。


 私情で消費した関係のない三つ目の質問のあと、俺は魔王を選んだ。

 理由としては、危険な所に行かされると分かっているんだからやはり出来るだけ力が欲しかったという事が第一。せっかくどこか特殊っぽいジョブがあるんだから取ってみようという好奇心。

 他、ここを逃せばもう取れないかもしれないというもったいない精神のような、色々な感情。


 吉と出るか凶と出るか、それはまだ分からない。


 レベルは1。このレベルがどういう風に関わるかとかは全く不明。


 スキルは魔法のダーク。後で検証。


 アビリティは時間停止。アビリティって事はあのクソ気持ち悪い白い触手に植え付けられた能力って事だよな……なんか怖いんだが。

 強そうな能力だと思うが、これも一旦保留。

 メニューに戻り、他の項目を開く。



 =============

 クエスト

 試練のダンジョン第一層を突破せよ

 =============



「試練のダンジョン第一層……一層? 二層以上ある感じか?」



 クエストはまあ、正直予想ついていた内容だった。ゲームのようにダンジョンに飛ばされて、それを攻略していくのはよくある流れだ。

 ……いや、そんなゲームの固定観念に縛られた考えは不味いか? 少なくとも、ゲームと違って五感が働くし怪我したら痛いだろうし。


 まあいい。次、交流掲示板は飛ばして掲示板まとめ。

 交流掲示板と同じく作成と検索がある。検索の方で少し調べてみる。



 ===============

 掲示板まとめ

 検索「」

 表示 人気順


【交流掲示板並行】まとめ機能調査


【なんのスレ】 スレッド紹介まとめ


【同じ世界?】環境まとめ【違う世界?】


 ===============



 まだ三つしかない。

 とりあえず一番上の【交流掲示板並行】まとめ機能調査を開いてみたところ、出来る事を分かりやすくまとめていた。

 交流掲示板や掲示板まとめへのリンクを貼ったりもできるらしく、利便性はそこそこ悪くないらしい。



 次、フレンド。



 =======

 フレンド なし

 =======



「……え、なにこれは。これ以上機能無し? 友達いないって言われただけになるんだけど」



 いくら触っても、何喋っても出てこない。おそらくだが、フレンドがいないと何もできない設計になっているのか?


 これ以上何も出来ない。メニューの最後の項目が残念過ぎる。いや、後になったらすごい機能が出るかもしれない……。



「一通り確認終わったが何するか。……いやそもそも、周りの状況ろくに確認してねぇ」



 唐突に出てきたメニュー画面に気を取られ過ぎた。何があるのかさっぱり分からない未知の場所で手元に意識が集中するとか、都会でも危ない。

 メニュー画面を閉じ、周辺環境の確認をする。



「っと、そもそも俺の着てる服、知らない服だな。……パジャマ? いや、囚人服か?」



 灰色一色の長袖長ズボン。サイズはピッタリで伸縮性があって通気性もあり、着心地はいい。飾りは一切なく、ポケットすらない。

 通気性があるのに布に厚みがあり、作業服のように簡単な身体保護をしてくれそうだ。

 素材は……絹? ポリエステル? 綿? 全く分からない。かなりサラサラな触り心地だ。


 靴も灰色一色で、足首まで覆うしっかりしたゴツめのものだ。ミリタリーシューズとかいう種類だったような気がするが、俺は詳しくは知らない。こちらも履き心地がとても良く、柔軟性に富み動きを邪魔しない。飾り気は紐しかないが。


 パジャマか囚人服に見える服のデザインに対して、靴が少々オーバーな程しっかりしているから、人によっては違和感を覚えるかもしれない。



 周囲の観察に戻る。

 俺のいる場所は一応部屋のようになっている。ただし出入り口に扉は無く、中から外は丸見えだ。ついでにその出入り口も少し崩れ気味である。


 部屋は一応天井がある。地面は外のようにデコボコした石畳ではなく、少しだけザラザラはしているが岩を削ったようにならされている。

 部屋自体はせいぜい8畳程度の広さで、一つ特別なオブジェがあるぐらいで他にはなにもない。出入り口が広めだから日の光もガンガン入ってくるし明るい。



 それで、その特別なオブジェだが……。



「チョロチョロ水が鳴ってたのはこれかぁ」



 小さな、それこそ普段遣いの洗面台ほどの噴水のオブジェ。壁にくっついた形だから壁噴水とか言われるものだろうか。

 三段状になっていて、一番上の段の真ん中にある穴から水が少しずつ出ているようだ。


 最大の特徴として、どう見ても水がなんか光っている。水の中にライトがあるとか、日の光を反射しているとかいう意味ではなく、明らかに水自体が発光している。



「え、こわ。工業排水か何か?」



 水はとても澄んでいて透明度が高く、キラキラ輝いているので一見神秘的に見えないこともない。というか、普段の精神状態ならそういう見方をしそうなものだが、急展開ばかりで荒んだ心が最悪な例え方を思い浮かばせた。


 触るのも怖いので噴水はひとまず置いておいて、出入り口に近づき、外の方をちらっと見てみる。

 そこは起きて初めて見たように、遺跡のような建造物が広がるだけだ。壁も4メートルはあり、登らないと自分がどういう所にいるか分からないだろう。



「あー……外に出るのもなー……敵性生物とか言うのがいるらしいし、危ないよなぁ」



 まだ少し混乱が収まっていない状態で外まで出てうろつくのはリスクが高すぎる。

 周囲の環境確認、装備の確認、メニューの確認と一通り終え、あとは勇気を伴う未知の検証に入る必要がある。

 が、やっぱり怖いので交流掲示板を見ることにする。勇気ある人が一人ぐらいいるだろう。




 ==================

【生き残れ】 異世界攻略part1


 1:名無しの指揮官

 ここは建設的意見を交わすべく、生きるためにまず何をすべきかを語るスレです。

 雑談スレが発狂状態なので立ててみました。まずは冷静に、情報交換をしましょう。雑談スレを見る限り、どこかズレがあるようです。



 ――――略



 121:名無しの無職

 つまり簡単にまとめると、【試練のダンジョン】つってもタイプが微妙に違う。熱帯雨林風遺跡、森林風遺跡、竹林風遺跡、砂漠風、地下型、城型と、いろいろある訳か。


 122:名無しの村人

 一応部屋は不思議な力で住みやすい環境になっているみたいだがな。あと外も少なくとも歩くことすらままならない悪環境じゃない。


 123:名無しの奴隷

 砂漠の遺跡とか歩くだけでキツくねぇの? 日光とか


 124:名無しの戦士

 俺、砂漠型。日光とか気温とかそうでもない。ちょっと空気は砂っぽい。でもマスクしないと息出来ないほどじゃない。風はある。


 125:名無しの無職

 みんな地下ダンジョンだと思ってたわ……。あ、地下はなんか謎の光り石が散りばめられてて暗いっちゃ暗いが普通に見えるぞ。空気もたぶん淀んでない。


 126:名無しの吟遊詩人

 ここ冷静な奴多すぎワロタ。自分たぶん城型です。まるっこいやつ。


 127:名無しの指揮官

 >>124 >>125

 貴重な情報ありがとう。

 仮称運営は運が悪かっただけでゲームオーバーっていうのは望んでないっぽいのかね。


 128:名無しの無職

 運営は草


 129:名無しの剣士

 神じゃねぇのwww


 130:名無しの指揮官

 誘拐同然で連れてこられて説明無しに戦いを強要されそうになってて敬う気持ち全く湧かないから神とか言いたくないわ。転生のアレくっそ不快だったし。


 131:名無しの無職

 ああアレな


 132:名無しの農民

 まさか触手プレイを実際に体験するとは……全然気持ちよくなかった(全ギレ)


 133:名無しの情報屋

 触手って言っていいのかあの雲みたいなの


 134:名無しの指揮官

 悪いが話を戻すぞ。運営からの仕打ちについてはまた別スレ立てよう。

 共通建設物は噴水だけか?


 135:名無しの戦士

 たぶん。


 136:名無しの村長

 サバイバルの基本はまず飲める水っていうけどこれ飲めるの。なんか光ってるけど


 137:名無しの学徒

 だれか試して?


 138:名無しの錬金術士

 言い出しっぺの法則


 139:名無しの村人

 >>137 頑張ってくれ


 140:名無しの学徒

 おい錬金術師お前こういうの専門じゃねえのおいw


 141:名無しの錬金術師

 大学化学専攻してたけど意味不明。つってももう10年近く前の知識だから忘れてるだけかもしれんが。

 スキルも調合っていうのあるけど調べるの無いんだなコレが。


 142:名無しの学徒

 ん? あれ三十超え? 若い奴ら集めてる感じじゃないのw


 143:名無しの教授

 私は40代後半だから若い人だけが選ばれた訳じゃないねー。


 144:名無しの無職

 40代後半! というかジョブが教授!


 145:名無しの剣士

 教授とかいうジョブすごそう。主に社会的に。ガチ教授だった人かな? 俺も剣道部だったし。


 146:名無しの学徒

 教授! このお水なんなのかわかりませんか!w


 147:名無しの指揮官

 おいおい無茶振りすんな


 148:名無しの教授

 わかるよー。


 149:名無しの情報屋

 マジカ!!www


 150:名無しの指揮官

 なぜ!?


 151:名無しの吟遊詩人

 手探りからの新展開にワロタ


 152:名無しの教授

 この水は治癒薬。名称はアルティメットポーション。

 効能は簡単に言うと、その個人の身体を完全な健康状態にする即効薬だねー。臨床実験しないと私も確証は無いけど、死んでなければ治るっぽいよー。

 ==================




【スレッド】

掲示板等で使われるのは、メッセージを話題毎にまとめたものという意味。

筋道という意味。

何かについて語る掲示板の一つ≒スレッド という捉え方で問題ない……?

作者にも自信がない。

略称はそのまま スレ 。


【言い出しっぺの法則】

要するに、最初に提案したやつがまずやれ。

理念的には他人に任せず自分がやった方が良い的なもの。

だが、社会生活を送る上で発言したものが実行責任を負ったりするので、誰も発言しなくなったりする。議論を活発にし仲良くするには、コレに拘るのは非常にまずい。

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