闘宴
お陰様で、『ネクロマンサー少女の二周目最強ゲーム』の書籍化が決定しました!
お馴染みネクロマンサー主人公のネネ、アンデッド剣士フランだけではなく、書籍版ではネネの親友ローズも加わって大幅改稿。女の子たちが残虐ファイトで暴れまくります!
『ネクロマンサー少女』と改題し、ヒーロー文庫様から6月28日に発売されます。
公式ページはこちら(https://herobunko.com/books/hero80/10074/)です。
イラストがめちゃくちゃ可愛いので、ぜひぜひご確認ください!
町の異常な静けさに、私はつぶやく。
「これは……ただ事じゃないね……。もしかしたら、もう住人全員食べられちゃったのかも」
フランが青ざめる(アンデッドだから元から青白いけど)。
「そんな! 急いで助けないと! 今すぐ参りましょう、ネネ様!」
「うん! じゃあまずは寝間着から普段着に着替えて顔を洗って髪をとかして朝ごはんを食べて朝の運動をしないとね!」
「ネネ様!? 今すぐ行かないとまずいのでは!?」
「そーだね! なるべく急ぐ!」
私は急いで寝間着から普段着に着替えて顔を洗って髪をとかして朝ごはんを食べて朝の運動をしてから屋敷の外に飛び出した。
遠くから、ずしん、ずしんと重々しい地響きが近づいてくる。
それは……見上げるほどに大きな大きな、時計台よりも巨大なジュニアで。
「おっっっっっそいわああああああああ!!!!」
ジュニアは私とフランの前にやって来ると、地団駄を踏んで怒声を上げた。
「どしたの? なに怒ってんの?」
「怒るわ! せっかく町中の人間を昏睡状態にして、誰にも見られない状態でてめえを全力ブチ殺してやろうと思ったのに、いつまで寝てんだ! 怨霊の結界で寝室には入れねえし、起きたら起きたで悠長にメシ食ってやがるし! てめえはなに考えてんだ!?」
「んー、世界平和、かな?」
「嘘つけ!!!! 世界滅亡だろ!!」
「ホントだよぉー。世界を平和にして手柄を全部ゲットして世界の帝王になろうと思ってるよ!!」
「てめえが帝王になったら世界滅亡と同じだろ!!」
「人聞き悪いなー」
「ネネ様に無礼なことを。ネネ様が帝王になれば、世界は楽園になるに決まっています。これは確定事項です」
「ねー? 失礼だよねー?」
私は腰に手を当ててぷんすかしてみた。
ジュニアはいろいろと言いたいことがあるみたいだったけど、ぐっと堪えた表情で。
「…………まあ、まあいい。住民の目がないから、好きなだけ暴れられる。もう容赦はしねえ。ネクロマンサー、これがてめえの年貢の納め時だ! 命乞いでもしてみな!」
グヘヘヘヘとジュニアが嗤う。うーん、魔物って感じでイイね!
「ありがとー♪」
私はジュニアに丁寧にお辞儀した。
「は……? なに礼を言ってやがんだ……?」
怪訝そうなジュニア。
私はくすくす笑う。
「だって、好きなだけ暴れられるんでしょ? それってつまり……私があんたをズタズタのボロ雑巾にしちゃっても、だーれも文句言わないってことだよねえ……?」
「ぐ……や、やれるもんならやってみろ! 踏み潰されてから泣いても知らねえぞ!」
「うんうん! 楽しく殺し合おー♪」
突進してくる巨大ジュニアに向かって、私は髑髏の杖を振り上げた。




