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神様は明後日帰る 第4章(帰郷篇)  作者: ロッドユール
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無茶

「いい加減にしろ」

 私は元少年の弁護士事務所へ一人乗り込んだ。

「・・・」

 元少年は最初とても驚いた表情をしたが、その後、ずっと黙ってソファに座っていた。

「警察にだって行ったんだからな」

「・・・」

 元少年はやはり黙っていた。

「お前だってことは分かってんだからな。人のこと付け回しやがって」

 興奮する私に対して、元少年は完全に冷静だった。それがまた私を興奮させた。

「おま・・」

「あの人とは別れた方がいい」

 元少年が独り言を呟くように何かを言った。

「なにっ?」

「あの人とは別れた方がいい・・」

「なんで・・、やっぱり・・」

 私は愕然とした。元少年はしまったと言った表情で再び口をつぐんだ。

「なんで知ってんだよ。なんで細井さんとのこと知ってんだよ」

「・・・」

「なんで知ってんだよ」

 しかし、私がいくら怒鳴っても、結局、その後、元少年はうつむいたまま何も言わず黙っていた。


 それから、平和な日々が続いた。付け回されているような、あの嫌な感じが消えた。

「やっぱり・・」

 やはり、元少年だったんだ。私は確信した。

「無茶するよ。お前も」

 私とマコ姐さんは、いつものごとく屋上で、ビル下の景色を眺めながら並んで煙草を吸っていた。

「一人で乗り込むなんて」

 無謀な私をマコ姐さんは、呆れるような、感嘆するような、そんな何とも言えない表情で見ていた。

「でも、なんで私を・・」

「初めての女ってのは、特別なんだ」

 マコ姐さんが煙草の煙を吐きながら言った。

「う~ん」

 私には分からなかった。

「男ってのはそういうもんなんだよ。あたしも経験あるよ。童貞君が通っちゃってさ。しまいには結婚してくれってな」

「・・・」

 本当にそれだけなのだろうか。私は何か釈然としないものを感じていた。

「しかし、なんで一人で行ったんだよ」

 マコ姐さんは少し怒ったように言った。

「マコ姐さんには迷惑は掛けられないから・・」

「お前は何でも一人で抱え込む。悪い癖だ」

 マコ姐さんは微笑んだ。

「はい・・」

「それがお前のいいとこでもあるけどな。でも、遠慮しなくていいんだからな。なんかあったらちゃんと言えよ」

「はい、でも全部終わりましたから」

 しかし、これで、本当に全部終わったのだろうか・・。何か引っかかるものがまだ私の中にあった。

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