第4話。心霊体験③社長令嬢
『結婚かぁ。ぴんとこないなぁ。彼女とは自然体でいられるし、趣味も合うからね。でも、結婚まではまだ考えられないな。それにほら、自分働いてないし(笑)』
『はっはっは。まぁ、そうだな。
しかし、世の中、恋愛と結婚は別だって考えてるクールな人間が多いもんだ。とりあえず、そんなにいい条件の女の子と付き合えてるなら、これは人生一発逆転のチャンスだぞ。
今まで君をバカにしてきた奴らを見返すチャンスだ、これは。
なんだかんだ、大半の人間は金を持っている人間に弱いからねぇ。金のない人間を見てみろ、まぁ、俺たちのことなんだが(笑)
貧乏人には差別してもいい、みたいな空気が社会にはみちみちているじゃないか?貧乏人は世の中や人から舐められちまう。』
『そんなもんかね。』
翌日、僕は彼女と会っていた。大企業の社長令嬢は意外に素朴だった。そこに好感がもてた。自慢するようなところが1つもない。
親の教育方針らしくて、一人暮らしをさせられているらしい。家賃も自分で働いて得た収入の中から払ってるみたいだ。
仕事も自分の会社ではなくて全く関係のない中小企業に就職していた。
父親に外で何年か社会勉強したほうがいい、と教育されているようだ。
彼女は、ゲームやアニメが好きで時々、大人買いしていた。
『今月、生活費ピンチなんよ。ゲーム買いすぎたわぁ。どうしよぉ~うち、手取り給料14万なんよぉ~』
と笑いながら言っていた。
親からは援助を受けていないらしい。
普通、お金持ちの家だと親から小遣い、月100万以上貰ってる人は少なくないのだ。
しっかりした親だなぁと思った。
夜になった。僕たちはK市のラブホテルに入った。