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第1話。2000円。

寒い冬の夜だった。

確か、20時ぐらいだったと思う。

僕はお腹が空いたので近所のコンビニに行った。

肉まんを無性に食べたくなったのだ。

冬は肉まん、あんまんの類が定番で正統派だ。

そして最も美味しい食べ方をご存知だろうか?

それは外で食べることだ。

冬の寒さに耐えながら、熱い肉まんを頬張る。これはおいしい。


キャンプやバーベキューか何かでも何故か屋外で食べるのって美味しいよね。

僕は昔、友人とテントを張ってキャンプを楽しんだものだが、そこで作ったカレーライスの味は忘れられない。

もしかするとホームレスの人たちは他のどんな富裕層よりも、食事を美味しく感じているかもしれない。

もしかしたら、彼らがいちばん、他の誰より幸福を感じているのではないだろうか?

労働者は生活を人質にされ、常に銃口を向けられている。食べるために自ら商品となり自分の時間を切り売り働く、時間貧乏だ。

しかし、ホームレスには自由がある。

おっと、話が反れてしまった。


さて、僕は肉まんを二つ買って、さっそくコンビニの脇の駐車スペースでもぐもぐと食べ始めた。

そこは僕のお気に入りの場所だった。

誰にでも落ち着ける場所というものがあるもんだ。


『あー美味しい。』


1つめの肉まんを食べ終えた。そうだ、この最高のご馳走をより贅沢にするためにコーンスープも自販で買おうと思ったその時だった。

先ほどから、見知らぬおばさんがこちらの方を見ているような気がしたのだけど、気のせいだろうと思って特に気にとめていなかった。

コーンスープを自販機から取りだそうとしていたところを声掛けられた。


『あなた、お腹すいてるの?お金あげようか?』


びっくりした僕は彼女を上から下まで見ていた。

一見、普通のおばさんだ。 

おばさんの手には2000円が握られている。


『え?そんな悪いですよ。知らない人にお金もらったら、ほら、ダメですよ。いただくわけにはいきません。』


とか言いながら、もう一人の僕は(ラッキー)と思っていた。


『いいから遠慮しないで。好きなもの食べなさい。』


そう言うとおばさんは僕に2000円を渡して足早に去って行った。

あれ以来、あのおばさんは見ていない。

あのおばさんは、なんだったんだろうか?


さて、2000円儲かったな、ありがたやー。なにに遣おうかなぁ!

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