鏡と貴方
ジッと鏡を覗きこんでみよう。
何が映っている？
それは貴方だ。貴方を見つめる貴方。
当たり前と言えば当たり前だ。
鏡は、貴方を見る貴方を映してるだけなのだから。
貴方を見る貴方が映るのは当然の事だ。
では今度は、鏡に背を向け、振り返りってから鏡を見てほしい。
今度は何が映っている？
――えっ？ 今度も同じ？ 「自分を見つめる自分が映っているだけ」だって？
本当にそうなのだろうか？
だってさ、
鏡の中の貴方が、
貴方が振る帰るよりも先に、
貴方を見ていないとは限らないんだよ？
人間誰しも、自分の目に入らない内は、向けられる視線に鈍感なものなのです。
