戦略会議
後日松村、マホーン、藤森の三人が量販居酒屋に集まり再度会議が行われた。松村と藤森は二人で連携をとっていたようで、話が相当具体化している。
松村がビールを片手に相当熱いことになっている。
「だから、たこ焼きの具にチーズは邪道だって言ってんじゃんか」
藤森が引き下がらない
「松村さぁ、だからタコは今高いから、たこ焼き売ってる振りしてメインはチーズ焼きがいいんだって。」
「チーズ焼きならたこ焼きじゃねーだろうよ。元はたこ焼き屋をやろうって話だったじゃんか」
「いやっ、俺やるからには成功したいんだよ・・・」沈黙が30秒ほどあって、
「・・・てかたこ焼き屋をやろうって言い始めたのはマホーンさんだよね?」藤森が思い出した。
「社長、マホーンさん、ご決断をお願いします」藤森がまじめな顔でマホーンにこう聞いた。
久しく感じたことの無い、仲間達と夢を語り合う心地よい楽しさに巻き込まれたかったので、マホーンは家族にうまく話せていないことはしばらく置いておくことにした。
「えーっと、うまく言えないけどお金を稼ぐってことは、社会に貢献するということじゃん。モノやサービスをお客さんが欲しくなければ買わないし、すなわち誰も買わないものは誰も欲しくないものだから、貢献できてないってことな気がする」マホーンはビジネス書を読んだ記憶を思い出しながら答えた。そして続けた。
「だから売り上げ即ち社会への貢献度であって、人は社会で生きているわけだから、社会に対して何かしら貢献が出来て初めて人として生きているといえるから、給料の高い人は社会的貢献度が高く、周りから評価されるべきで・・・って何か少しずれてるよね?」
松村と藤森はこれを聞いて懐かしそうな顔をした。
藤森はこう言った。
「マホーンさん変わらないっすね、その胡散臭さ。そして何が言いたいのか良く分からない。要するに何?」
マホーンは続けた
「まぁ、要するにたこ焼きがいいよ。俺はチーズのやつより好きだからさ。原価の安い材料を使ってどれだけ利益率が高いとしても、自分が好きじゃないと美味しさとか魂とか伝わらないから、結局は売れないんじゃない。だからたこ焼きをやるって今決めた。」
松村は言った。
「音楽と一緒だな。たこ焼きも何もかも。ロックだよロック。自分がやりたいからやるんだよな。ただそれだけでいいんだよ。けどそれで儲かればいいんだけどさ。だって俺子どももいるし貯金もねーだろ。考えるまでもなく家族が守れなきゃ俺はやれないよ」