原価計算
「小麦粉スーパーで1キロ250円でしたよ。」
藤森はしっかり値段をチェックしてきていた。こういう点は頼れる男である。
松村が計算を始めた。
「ってことはよ、小麦粉1キロでたこ焼きって何個できんだ?」
藤森がなんとなく計算した。
「多分100個くらい出来るんじゃないすか?」
マホーンは話を進めた
「じゃあタコとかあと箱とか鰹節とかって大体いくら位っすかね」
松村が回答した
「タコなんて1匹500円位だろ、箱は1つ10円だとして・・・」
藤森が譲らない。
「タコをなめちゃだめっす。1500円はするって絶対。」
「いやタコだろ?イカじゃねーんだよ。」
藤森は食い下がらない
「中国製のタコでいいじゃないすか、マホーンさんが買いつけるってことで」
マホーンは苦笑いをしながら
「いやっ、マジそれ勘弁。もう俺中国とかいいからさ。日本で中国製のを買おうよ。んで間をとって1000円に決定!ってことでちょっと単価計算しますね。」
その間松村と藤森はスマホでアイドルのプロモを見て熱くなっていた。
「このサビの掛け合いはマジ神だよな・・・・」
「○○ちゃんのこのひざの感じがたまんないんだ・・・」
「やっぱり○○とプロデューサー親戚らしいぜ・・・」
「出来た!」
マホーンが口を開いた。テーブルの上に敷かれていた紙のマットに細かく計算されたものを二人に見せた。
初期費用
店舗内装 200万
家賃敷金礼金 50万
鉄板とか 100万
オープンまで人件費 40万
固定費
人件費 20万
家賃 10万
光熱費 10万
宣伝費 10万
変動費(1箱)
小麦粉 25円
タコ 100円
油 10円
箱、楊枝 20円
青海苔とか 10円
計 165円
松村も藤森も紙は見たものの、何か飽きてきた感じだ。ついさっきまで乗り気だったのに、アイドルの影響力は恐ろしいものだ。
松村がマホーンにとりあえず聞いた感じで、
「んでこれでいくら儲かるの?」
マホーンが飽き飽きとした状況を察し、簡単に一言
「1日200箱売れれば、45日で元がとれ、それ以降毎月220万儲かります。」
・・・酔いも深まり、3人はキャバクラに消えていった。
キャバクラの魅力も恐ろしいものだ。