あきらめきれない何か
マホーンは引き下がらない。
「仕事もやりつつ、デビューしてって難しいんすかね?こんなこと松村さんに言ったら俺何上から見てんだって言われるかもしれないけど・・・」
「あの時バンドマンへの道を俺が断って、松村さんをバイトに巻き込んで、中途半端に夢追いかけちゃって、結局松村さんがパスタ屋から抜け出せなくなって、すげー俺松村さんにはビッグになってもらいたいってのがあって。別に松村さんの人生がうまく言ってないとか否定するとかじゃなくて、うまくいえないけどごめんなさいって俺の中にあるんです。」
「しかもすっきりするには松村さんにビッグになってもらわないといけないんです。けど、だからといってまたバンドを真剣に再会するってのは、俺やっぱり家族もいるし出来ないんです。」
松村はちょっと間をおいて答えた。
「てか俺はマホーンの言うとおりに思ってないぜ。惨めかっていうとまあこんなもんだって思ってるし、俺ネクタイ締められねーだろほら。だからむしろ感謝してるよ。てかマホーンが俺のこと惨めって思わなくてもいいって。」
マホーンは焦った。
「いやっ、うまく言えないっすけど一緒にバンドやってればビッグになれてたって俺勝手に思っちゃってるんです。二人で良く言ってたじゃないですか、カラオケになんでダブリストの曲ねーんだよ、一番歌いたい曲入ってねーよなんて、そんなこと。だからあの時松村さんの期待に添えなくてごめんなさい。ほんとすみませんって意味です。そのせいでバンド成功出来なくて、あの時ほんとに楽しかったんです。だから形を変えてでも一緒にまた夢みたいって思ってるんです。これは俺の一方的な後悔です。自分勝手かもですけど・・・」
「・・・今つまんないんです。」とマホーンがしめた。気持ちがどんどん悲しくなってくるのが分かった。