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村松がいなくてどうしよう

 マホーンと藤森は焼肉屋で今回の件について話していた。

「松村さんって、こんな人だっけか?浮気というか家族を捨ててみたいなさ。」

マホーンは藤森に問いかけた。

「えっと、どこからか浮気かってラインとして、キャバクラがアウトならそういう人だと思いますよ。」

「確かにな、あはは。」

「けど家族を捨てるとかそういう人じゃないとは思ってたんですけど。だって仲間とか兄弟凄く大切にしてたじゃないですか。」

「そうだよな・・・。約束はあんまり守れないけどね。しょっちゅう遅刻したりさ。」

マホーンがそう言ったあたりで、場がしんみりしてきた。焼肉屋のランチタイムもそろそろ終わりらしく、客は彼ら以外ほとんどいなくなっていたことも雰囲気を助長させる。



藤森はビールを片手に口を開いた。

「けどさ、アイツは裏切らなかったっすよね。仲間をさ・・・。確かにだらしないところは相当あって、途中みんなを心配させるんだけど、最終的にはカッコ良くってか、ちゃんとやってくれてたすよね。」


そして続けた。

「ちょっと前の話になりますけど、ライブの時とかも、練習はよく遅刻してきて、しかも曲の歌詞なんか事前に考えて無くて、スタジオで考えて練習が停まってみんなに迷惑かけたりさ。

けど、ライブの時は遅刻もしないし、歌詞もちゃんと覚えてくるし、前日に夜遊び行かなかったし。」


マホーンは言った。

「うん、ステージでは存在感相当あったし、村松さんいなかったら盛り上がらないってのはあったよね。何かやってくれる期待感ってのはあるよね。サングラスかけたり、上半身裸になったりさ。獣みたいななんかそんなだけど・・・。バンドマンのフロントとして俺本当に尊敬してたんだけどな。」


「そうそう、実質ラストライブのときなんか神がかっていたしさ。空に神を償還するポーズとかね、ほんといい意味でやってくれてたと思ってますよ。

けどさー今回は逆の意味でやってくれましたよね?やっちゃいましたよね?」


「あー、最悪だよ。もう何を言えば良いのかもわかんないな、ほんと。なんか辛い。」


マホーンも藤森もこんな昔話をすることしか出来なかった。そしてランチタイムも終わりかけのようで、店員の目も冷たくなってきていることから、場所を変えてファミレスに行くことにした。


すると藤森の携帯に村松からメールが届いた。


「成田到着。これからどこに行けばいい?ほんと悪い。」


朝藤森が打ったメールに返信が届いた。


「みんな待ってますよ。けどまず行くべきところは一つでしょ。」


「英恵怒ってたよな?」


「泣いてましたよ。」


「了解。まずはお前達んとこに行く。」


マホーンは口を開いた。

「なぁ藤森。で、どうする?村松さん戻ってきたけど・・・。」


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