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松村宅にて

「村松って最近何処にいるか知ってる?」藤森がいきなりぶしつけな質問をした。

英恵は泣き出してしまった。

「お母さんどうしたの?」子どものヒロト君も心配そうに見ている。


「ごめんね、別に借金取りとかそういうんじゃないから。」

マホーン的な気を紛らわせるためのジョークは一同をしらけさせた。


「実は・・・。」


英恵は少し時間を置いてから口を開いた。ヒロト君にはちょっと外で遊んでもらうことにした。

「トシカズは多分中国にいるんです。」

マホーンも藤森も事の始終をこの一言で全て悟った。


「トシカズはリンリンって女とどうやらいい関係だったらしくって、3日前私が仕事から帰ってきたら手紙が置いてあって、これなんです。」


マホーンと藤森は差し出された手紙に目を通した。


「・・・リンリンの母親が病気で倒れたんだ。あいつ俺の前で泣き崩れてさ、ほっとけないから、ちょっと一緒に故郷まで送り届けてくる。・・・」


英恵の目には涙が浮かび、赤くほどろんでいる。

「トシカズがいい人なのは分かるけど、他人にここまでする必要が全くわからないんです。マホーンさん、リンリンとトシカズは何かこっそり付き合ってたりするんでしょ?」


マホーンは速攻で切りかえした「そんなことは全くないって。良く俺たちの前で英恵ちゃんのこととか話したりしてたし、松村さん誰にも優しいから、ほら。」


英恵がまた泣き出してしまった。

「ほんとのこと言ってください。ほんとはリンリンのことが好きだったんでしょ。」


藤森が言った。

「正直村松が何を考えているのかって、あいつに聞かないと分からないけど、けど信じたいって気持ちは俺は持ってるよ。今までそんなことしたことないしさ。」


マホーンもそれに続けた。

「連絡が取れないから不安になることってあるじゃない?ほら、実は大したことじゃなかったんだけどさ、急遽決まった飲み会の日に携帯どっかでなくして、家族に事前連絡できなくてとかさ・・。」


これを聞いて英恵はもっと泣き出してしまった。

「ちゃんと置手紙もあるんですけど・・・。」

マホーンはどうもこういう慰めるとかは苦手らしい。



するとこれに見かねた村松の母親らしき女性が部屋の奥から出てきた。

「こないだトシカズから私宛にこんな手紙もらったのよ。こんなダメな自分だけど、お店も順調だから是非見に来てくれって。トシカズは今まで一度もこんなこと言ったことなかったから、嬉しかったんだけど、けどお店行ったらシャッター閉まってるでしょ。電話しても出ないから、英恵さんとこに来たの、そしたらこんな状況で。ほんと申し訳なくて、ごめんなさいね。」


マホーンと藤森は何と言っていいのかも分からず家を後にした。自分達よりも辛い状況に置かれている家族達を見て、何も言えなくなってしまったのだ。


また藤森がマホーンがこのまま家にいることで、英恵を不必要に心配にさせることを言うのではなかろうかとヒヤヒヤしていたというのもある。


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