究極のマーケティング戦略
「でどうしよう?まずいたこ焼きでもやりようによっちゃ売れるよな、藤森?」
マホーンは藤森に聞いた。少しでも気持ちを前向きに変えるには目の前の男の助けが必要だった。ビールの助けも必要で結構飲んでしまっている。
「1回買ったお客さんは2度と買わないっすよね。だってまずいって知ってますから。だから場所を転々として・・・いや、店作っちゃいましたし、ほぼ。」
マホーンは考えた。
「美味しくないけど、また買って食べたくなるものって何だ?」
そしてひらめいた。
「下手だけど、買って聞きたい音楽CDって何だ?」
藤森も気付いた。
「あれっすよ、アイドルが作ればいいんですよ。そのリンリンさんってかわいいんですよね?」
マホーンは突っ込んだ
「けどさ、そうなると松村さんの仕事って何?」
マホーンと藤森は答の糸口が見つかったことで安堵した。
そして二人で爆笑した。
出来たシナリオはこうだ。
ロックスターを目指す妻子持ちのトシカズは、借金をしてたこ焼きを始めた。プロデューサーからラストチャンスとして月間150万の利益を上げれば、デビュー出来る試練を言い渡されている。
藤森が言った「これはいいっすよ。本人にイマイチ生まれ持ったスター性ってやつはないけど、ストーリーがいいっすよね。奥さんも子どももいるのに、借金を背負わされているってところがポイント高いっす。」
「家族の写真とか店に張り出したいよね。あはは」
「しかも月間150万の利益はほぼ無理だから結局デビュー出来ないことになって、この話が嘘だってバレないっすもんね。」
「しかもロックスターとたこ焼きなんて全然関係ないところがまたいいよね!何かの根性論?」
「これはバカ売れの予感!かんぱーい!!」
酔っ払いの話はろくなもんじゃない。松村と客を馬鹿にしすぎである。
後日二人が松村から説教を食らったのは言うまでもない。




