たこ焼き始めました!
「拝啓
お元気ですか?俺は何とかやってます。マホーンに誘われて初めたたこ焼き屋もやっと軌道に乗り、今は2店舗目を出す準備に追われています。
母ちゃんに辞めるなって言われた7年籍をおいた大学も途中で辞めちまって、就職もしないで、パスタ屋バイトして、しかも女に子どもが出来て結婚して、社員にしてもらったのはけど、辞めて、たこ焼き始めて。
ヒロトは多分5歳。とりあえず元気にやってます。
こんな人生だけど、なんか俺らしくていいかなってさ。ふと母ちゃんに感謝した方がいいよなってよ。だから手紙書きます。たこ焼き食いに来てくれよな。」
埼玉県の大学を擁するベッドタウン、駅前商店街の一角には1軒のたこ焼き屋がある。
看板にはこう書かれている。
「夢はロックスター!たこ焼きトシカズ」
始めて通りがかった人は、誰しもこう思うはずだ。
大学生(男)
「アイドルの名前がついた焼肉屋は知ってるけど、トシカズって誰だよ?」
30台主婦
「看板に張ってある写真のあれ誰?ヒゲ面の男の写真飾って何したいの?ひょっとして有名な料理人かなんか?」
フリーター(男)
「なんだよこのでかい音で響くロック調の曲?うるせーなぁ。」
すがすがしい陽気とはこういった感じなんだろう。5月の埼玉は新緑の香と相まってとても過ごしやすい。夕刻の頃、買い物帰りの主婦や学生が5名ほど列を成してこの焼きあがりを待っている。
最後に一つ・・
全員
「なんでこんな店に行列が出来てんの?」