大盗賊デビルズ11(2)〜みんなでやられりゃだいじょーび〜
大盗賊デビルズ11(2)〜みんなでやられりゃだいじょーび〜
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「いやあ、いい仕事ができそうだ!」
……すまん、聞いてなかった、と伝えるとそいつはずっこけた。大手牛丼チェーン「るる家」で知り合った男は気がおけず、だごん!とにんにく牛丼セットを奢ってもらうのでなければついてきていない。だからこいつが楽しそうでも耳は店内音楽を聞いている。「ふんぐるい♪むぐるうなふ♪」と女の子が歌っていて、ラヴ♡クラフトが新曲を出したのはわかったがこいつの話は聞いてない。上司のタコ野郎に送り込まれたという親近感のわく立場以外は話が合わず、こいつどうやら要領が悪い。資金稼ぎに「宇宙を吹き飛ばす完全合法の手段があります!」という広告を動画サイトに上げたがこいつが金を払っただけで、みんな芸人のオフィシャルを見るためにスキップしているらしい。ならばこちらが笑いを取ろうと「おもしろい顔!」と動画で魚の顔マネをしたらそもそも再生されず、這い寄る混沌とはこういう意味なのだろうかと気の毒になった。それでも夢は一発逆転、「お前夢に出る立場だろ?」と言いかけたがやめ、無謀の神の力を見せてやる!と張り切っていた。無謀?なんだか字が違う気がしたが、こいつはどう考えても無謀の神だから黙っていた。無謀な神は何か頼りにしているらしく、カバンを探った。
ネクロノミコン(改訂第二版)!まず改訂したことがあるのだから怖いの一言だが、こいつに書いてある通りにすれば愚かな人間など恐るるに足りぬ!と名状しがたい不安のようなものに襲われる言葉を吐いていた。オレが不安なだけでこいつは不安ではないらしく、たぶん精神構造が破壊されている。大変な職場だなあと珍しく同情した。下には下がいるものだ。
やはり「賢いヤツを狙え」が鉄則!47ページ!と自慢げなそいつはページを覚えるくらい読んでいると同時に「ページくらいしか覚えることがない」という宇宙的大問題に気がついていない。先生とか警察とか、狭い専門なのに偉そうなヤツはすぐ転ぶ!勝ったも同然だ!と喜んでいて、「お前は何かに詳しいのか」と聞かれたら質問の意味がわからないだろうからいちいち言わなかった。そいつはいあ!いあ!と手を挙げたので付き合って「……いあ……」と手を挙げたらハイタッチされた。イエーイと言わんか、手なんか挙げないから。肩を落としていると、そいつの子分が近くの学舎に紛れ込んでいるから様子を見に行こう!と引っ張っていかれた。諦めてついていき、学校の窓にがんばって手を伸ばしてよじ登り中を見たのだが。
「きゃーーーーー!」
ミスカトニック女学院の女子更衣室からホウキやモップを持った女子高生たちが出てきて追い回された。わー!そこまで来ている!角が立った後だが角がないように神社の裏に隠れてやり過ごし、ことなきを得た。今度こそ!とそいつは神社に願掛けの賽銭を投げていたが、お前こういう旧い神には頼らないんじゃねーの?後からやってきた子分が「迷惑かけてすみません」と謝ってきた。なかなか深い野郎だな。




