プロローグ
信号を待っている。
文化祭の打ち上げでしゃぶしゃぶを食べた帰り道、俺は友達と話しながら自転車を走らせていた。
俺はそこそこの進学校に通う陽キャ高校生だ。
バスケ部所属。わりと高身長。イケメン。
友達はもちろん多くて、彼女もいる。
はっきり言って人生勝ち組だ!www
「おっ」
同じクラスの女子がインスタにストーリーを上げている。
友達が話しているのを聞きながら、それをなんとなく眺める。
気付くとまわりの友達が横断歩道を渡り始めていた。
スマホをしまって、俺もそれに続く。
空はもうすっかり暗くなっていたが、気温はまだ暑かった。俺は額にじんわりと汗をかきながら友達と話す。
思えばここ数日、いや数週間はかなり忙しかった。忙しかったが、マジで楽しかった。
にしても暑いな…。帰ったらすぐ風呂に入ろう───
突然、横から大型トラックが迫ってくる。避けなきゃ、なんて考える前に俺はそれにはねられた。
ドン!という音と共に、体が宙に浮く。
地面に叩きつけられて、強い衝撃が俺の体に響く。頭が痛い。遠くに俺の自転車が見える。
体が動かない。視界が急に真っ暗になっていく。
「いった…。」
薄れゆく意識の中で、俺はどこかの世界に飛んでいくような気がした…。