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ガスト

「ソウル。ねぇ、ソウル?」


 意識がぼんやりする中、ソウルは優しい声を聞いた。その声はソウルの混濁する意識を徐々に鮮明にしてくれるような暖かい水のような優しい響きを与えてくれる。


「うぅ……?」


 やがて、あごに苦い痛みを感じながらソウルは目を開けた。するとそこにはむさ苦しいマックスと、もう1つの顔が覗き込んでいる。


 ピンクのショートカットに湖のように青い瞳。


「……ガスト?」


 ソウルが気の抜けた声で同じ孤児院の幼なじみの名を呼ぶ。


「おはよう」


 ソウルの言葉にガストは可愛らしい顔でにっこり微笑み返してくれる。


「なんでここに?」


 12歳になり、顔の可愛らしさにさらに磨きがかかった幼なじみは普段この時間は仕事に出ているはずだった。


「今日は特に仕事もないって言われたから」


 そう言ってガストはにっこりと笑う。


 彼女には治療系の魔法の才能がある。その為、街の病院で日々働いている。


 治療の魔法は貴重だ。


 その為病院もガストをとても重宝してくれている。同じ孤児院のメンバーとしてとても誇らしい限りだ。


「それで、ソウルの様子を見に来たんだけど、白目を向いて倒れてたから」


 ガストが目を伏せながら告げる。そんな彼女を見ながらマックスは気まずそうに目を逸らす。犯人はお前だ。


「あぁ、なんかごめんな」


 ソウルはそう言って自身のアゴをさすった。


 顎が砕けたかと思っていたが、痛みが和らいでいるところを見ると、ガストが治療系の魔法をかけてくれたようだ。


 相変わらず優しい力だと思う。


「……」


「……」


 しばし無言で見つめ合う。今気がついたが、ガストはソウルの手を握っている。


 ソウルは離すのも勿体無いと思い、握り返してみた。


 すると、ガストの顔がみるみる赤くなっていく。


「あー、お熱いところ恐縮なんだが、そろそろ仕事にとりかかるぞ?」


「ふわっ!?」


 マックスの言葉を聞いて、ガストは慌てて手を離した。そんなガストを見ながらソウルは少しがっかりする。


「よおし!とっとと始めてさっさと終わらすぞ!近頃は物騒だからな。ソウル、仕事が終わったらガストを送ってやれよ?」


 マックスがにやにやしながらこちらを見ている。


「う、うるせぇな!ほらガスト、せっかく仕事が早く終わったんだ。先に帰って……」


「ううん、せっかく一緒に帰れるんだもん。ソウルが終わるまで待ってる。それに……」


 そしてガストは笑顔で続けた。



「ソウルのカッコいいところ、見てたいもの」



 ソウルはその日、緊張のあまり仕事のミスを連発しマックスにどやされるのだった。

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