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錬金屋③

 2人が店を出た後、老婆は1人思案する。


「あの剣を持った召喚士がここを訪ねてくるとはね」


 お茶を啜りながらかつての友人のことを思い出す。


「あの子が運命の子なのかねぇ。ゼロ」


 そう言ってため息をついた。


ーーーーーーー


 マルコに頼まれた物を全て購入したソウル達が店に戻る時にはもう日が傾きかけていた。


「すっかり遅くなっちまったな」


「そうですね」


「悪いな、1日いろいろ付き合わせちゃって」


 ソウルは新調したマントやその他の装備の袋を見せた。


「いえ、私も新鮮で楽しかったです」


 ソウルの都合に散々振り回したのに、オリビアは屈託のない笑顔を見せてくれる。


「ありがとう。オリビアがいなかったら、きっとこれだけ揃えられなかったよ」


「それは良かった。またいつでも言ってくださいね!」


 そしてマルコの酒場の前。


「よかったら、このままご飯奢るけど?」


 少し気恥しさを感じながらオリビアに提案してみる。1日付き合ってもらったんだ。これぐらいしないとバチが当たるだろう。


「あ、ごめんなさい。今日明日は外せない予定があるんです」


 しかしオリビアはしょんぼりしながら告げる。


「け、決してソウルさんの誘いが嫌な訳ではなくて、その……ごめんなさい」


「いいよ、また任務から戻ったら飯でも行こう」


 ソウルは少し残念に感じながらも笑顔でオリビアを送り出す。


「えっと、ソウルさん、これ」


 すると、オリビアが何か小さな包みを手渡してきた。


「ん?」


 中を開けてみるとそこには小さな緑色のペンダントが入っている。


「これ、お守りです。その、次の任務でソウルさんが無事に帰って来れるように」


「大丈夫だよ、何の危険もない遺跡の調査だから」


「そ、それでも、残される側は不安なんです!」


 オリビアが強い口調で告げる。


「私の知ってる騎士で……帰ってこなかった人を沢山知ってます。ソウルさんにはそうなって欲しくないんです」


 オリビアは泣きそうな顔をしていた。


 彼女は仕事でよく城を出入りしていると言っていた。きっと親しい騎士も沢山いるのだろう。


 そして、失う気持ちの辛さはソウルも身をもって知っている。


「……分かった。絶対に帰ってくるよ」


 だから、ソウルはオリビアが安心できるように笑顔で答える。


「はい、待ってますからね!」


 オリビアは安心したように答えた。


 そして笑顔で手を振って走っていくオリビアを眺める。


「……忘れてたなぁ」


 自分を心配してくれる存在がいる事の幸せと、その存在の大切さを噛み締めながらソウルはマルコの店へと戻るのだった。

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