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錬金屋①

 明くる日。ソウルはマルコの店にやって来たオリビアに治療を受けていた。


「いてて.......」


「もう、ほんとにあなたって人は」


 オリビアは不機嫌になりながらもソウルの頬に湿布を貼ってくれる。


 シーナに蹴り飛ばされて、ソウルは朝までのびていた。あの強烈な蹴り……何とまぁ見事な一撃だったことだ。


「私がいるからって馬鹿なことばっかりしてません?」


 ジト目で見ながらオリビアは毒を吐く。


「好きで痛い思いなんかしないよ.......」


 対するソウルはガックリ項垂れながら答える。好きで蹴られるバカがどこにいることか。


「今回は、魔法を使ってあげませんからね!」


「は、はい.......」


「ソウルちゃんも男の子だものねぇ」


 マルコもやれやれといった感じで肩を竦めた。


「いや、別にシーナの裸を見たかった訳では.......って、いてててて!?」


 オリビアに頬をつねられる。


「あら、もしかしてあたしを覗きに来てくれたの!?もーう、素直に言えばいくらでも見せてあげ」


「ざけんな」


「ひどいっ」


 なんてやりとりをしながら訪ねてきたオリビアに本題の話を切り出す。


「買い出しですか?」


「うん、マルコに店の仕入れをやって欲しいって頼まれててさ」


 ソウルはマルコに目をやりながら説明する。


「それをやってくれたら任務までの間はここで泊まってっていいわよ」


「ってことなんだ。だからシーナも起こしに...」


「いいえ、行くのはあなただけでいいわ。ソウルちゃんこの街に来て日が浅いでしょ?だからオリビアに案内してもらいなさい」


「ちょ!?マルコさん!?」


 オリビアは顔を真っ赤にして焦っている。


 そうだよな。いきなりこんな面倒ごと頼まれたらそんな反応になるよな。


「すまん、オリビア。そこを何とかお願いできないか?正直この街のどこに何があるかさっぱり分からねえんだ」


 ソウルは頭を下げる。ソウルにとってこの広大なウィストリアは未開の地同然。何の案内もなく飛び込めば右左も分からないどころか、ここに帰ってくることすら叶わないかもしれない。


 実際、入団試験もでかい城に向かって走っただけで何度居場所を見失いかけたことか。


「い、いや別に嫌ってわけじゃないんです!」


 オリビアは慌てて手を振る。


「じゃあ、決まりね。ついでにソウルちゃんも任務に必要なものを買いに行ってきなさいな。夕方頃に戻ってくれればいいから、ゆっくり回って来るといいわ」


「それは助かる。マントも消し炭になっちまったし.......新しいの新調しないとと思ってたんだ」


 ソウルは【トルネード】で散り散りになったマント(相棒)のことを思い出しながら遠くを見つめる。


「そ、それじゃあ決まりですね!準備してくるので30分ほどしたら表の広場で待っててください!」


 そう言ってオリビアはバタバタと店を出ていった。


「?このまま一緒に行けば良かったんじゃ.......」


「あのね、乙女には準備が必要なの。そんなこと思っても本人の前で言っちゃダメよ?」


 ソウルはマルコに釘を刺された。

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