頼み事
結局マルコは2つ返事で2人を受け入れてくれた。
シーナは荷物を置いたあとマルコの勧めでシャワーを浴びているようだ。
そしてソウルはリビングに案内されてこうしてマルコと話をしている。
「ほんとに助かったよ、マルコさん」
「もぉ、いいのよ。私とソウルちゃんの仲じゃない」
まだ一度店で飲食しただけの仲のはずだが……。まぁそれでもありがたいことなので何も触れないことにした。
「それで、あれが噂のシーナちゃんね?」
「あぁ。何か追い出されちまってさ。他の宿も回ろうかとも思ったんだけど……」
ジャガーノートだと言うだけで門前払い。もうシーナにあんなことはさせたくなかった。
「まぁ、悪い判断じゃないわ。今この街で訳アリの人間を泊める宿屋は少ないもの」
マルコは納得したように告げる。
「なんでだ?俺が旅してた時はそんなこと無かったんだけど」
「最近物騒なのよ。騎士ばかり狙う連続殺人鬼【死神】、獣人族の首領【半獣の王】……挙げたらキリがないわ」
「そんなご時世だから……か」
「そうね。みんな敏感になってると思うわ。だから見るからに怪しいヤツは入れたがらないのよ」
ジョッキをコトっと置きながらマルコはため息を着く。
「何か……大きなことが起こる前触れかもしれないわ。気をつけなさい」
「よく分かんねぇけど、分かった」
大きなことって一体何だろうか?想像もつかない。
「あなたが戻ってこないと悲しむ子もいるんだから自分の身を大切にしなさいよ?」
「いやぁ、そんなやつはいないと思うけどなぁ」
絶賛天涯孤独の身だし。
「……ソウルちゃんって罪な男ね」
「何の話?」
「別に?」
マルコは肩をすくめる。
「まぁ、3日後の出発の日までうちにいてくれて構わないわ」
マルコの提案にソウルは深く頭を下げる。
「すまん、恩に着るよ。せめて金はあるだけ渡すから……」
「お金なんていいわよ、その代わりと言っちゃあれなんだけど……」
マルコはやけにニヤニヤしながら告げた。
「1つ頼まれてくれないかしら?」




