最初の試験③
「さて、あと1人な訳だけど……」
ソウルは周りを見渡すが、もうほとんど誰も残っていない。
「やべぇ、どうするよ。えーと……」
そう言えば、名前を聞いていなかった。
「俺、ソウルって言うんだけど……そっちは?」
「シーナ」
シーナは消え入りそうな声で告げる。
「よし、シーナ。誰かに声をかけよう」
「めんどくさい。勝手にやって」
「ひっでぇな!?お前も無関係じゃないんだからな!?ここで仲間見つけられなかったら門前払いだからな!?」
ソウルの不服をシーナは加齢に聞き流している。
「と、とにかく!まずはあの辺に残ってるやつらを当たって……」
「その前に、いいかな?」
ツンケンな態度を取るシーナに頭を抱えていると、不意に後ろから声をかけられた。
驚いてそちらを向くと、そこには1人の青年が立っていた。
服装はソウルのように盗賊じみた服装で、腰に細い剣をかけている。そして、茶色にふわっとした髪。爽やかな笑顔で数多くの女性を落とせそうな笑みをこちらに向けていた。
その顔を見てソウルは度肝を抜かす。何故って?
「…………ウィル?」
目の前に現れたその青年はかつての親友ウィルにそっくりだったのだ。
ソウルは信じられないものを見るように、かつて同じ孤児院にいた幼なじみの名前を告げる。なんで…なんでウィルが個々にいる!?あいつは10年も前に死んだはずなのに……。
「ウィル?いったい何の話?」
ところが、目の前の青年は首を傾げながらそんなことを告げる。その姿を見てソウルは我に返った。
「あ……あぁ。悪い。昔の知り合いに似てたもんで」
そうだ、ウィルはもうこの世にいない。ただの他人の空似だろう。そっくりではあるがそれ以外に考えられるはずもないのだから。
慌てて切り替えるソウルに青年は少し探るような感じで言葉を続ける。
「そう?じゃあ本題に入るけど、僕を君たちのチームに僕も入れてくれないかな?」
「え、それは有難いんだけど……何で俺達のチームに?」
ありがたい申し出に対して逆にソウルは困惑する。
今のソウルのチームの顔ぶれは、魔法の使えない男に【破壊者】とかいう他の者が敬遠する2人だ。
そこに自ら入ろうとするなど正直怪しい。.……自分で言うのも悲しいが。
「いやぁ僕も平民だし、こんななりだから他にチームに入れて貰えなくってね。この訳ありの塊のチームなら入れて貰えそうだなぁーって」
そしてそう言って彼はあははと笑っている。確かに見たところ盗賊崩れに見える様相をしている。他の騎士が敬遠するのも理解できるような気がした。
だったらソウルとしても入ってもらえるなら有難いし、個人的に彼がウィルに似ていることで親近感も沸いてきた。
一方のシーナは物凄い形相で睨んでいるが、背に腹はかえられない。
「シーナ、この人に入ってもらおう」
「…………」
しかし、シーナは相変わらず眉間に皺を寄せながらギロリと青年を睨みつけている。
「他に人もいないし、仕方ないだろ」
「ヘラヘラ笑って……信用できる気がしない」
「でも、これを逃すときっと騎士団に入れないぞ」
「…………分かった」
ソウルの言葉に渋々といった様子でシーナも頷く。
「恩に着るよ。僕はベルト・レイ。そっちはシーナさんで、君は?」
「あぁ、シン・ソウルだ。これからよろしくな」
レイと握手を交わす。
こうして一時はどうなる事かと思ったが、何とか無事にチームが結成されることになった。




