最初の試験②
髪で顔はよく見えないが、体つきからおそらく女の子だろう。
歳はよく分からないがソウルと同い歳くらいに見える。ポケットに手を入れたまま柱にもたれかかり、髪の向こうから鋭い深紅の瞳がこちらを睨んでいた。
その姿は「こちらに近づくな」と主張しているようだった。
「……えーと」
何も言わない少女にソウルも口どもる。しかし、話をしなければ何も始まらない。
「俺と、チームを組んでくれ!」
ソウルは射殺されそうな視線に耐えながら少女を勧誘する。
しかし少女は押し黙ったまま答えない。えーと、言葉が足りなかったか?
「……チームを……組んでください?」
ソウルは言い方を丁寧にしてみる。
「…………」
「……チームに、入って……頂けませんか?」
「…………」
「……この私めと……チームを……一緒に築いていこうではありませんか?」
まずい、思考の終着点が見つからなくなってきた。
「……他を当たって」
しつこいソウルの勧誘に痺れを切らしたのか、ようやく少女は機嫌の悪そうな声を出す。
「そ、そこをなんとか!」
だがソウルも食らいついていく。
「……私は1人でいい」
しかし対する少女も頑なだ。
「で、でもチーム組まないと、騎士団に入れないし……」
「……なんで?」
すると、少女が何故そうなるか理解できないといった様子で尋ねてくる。
「………………………………………………………………………………………………………………え?」
ソウルは目が点になった。
こいつ、何言ってるんだ?
「いや、だってさっきあのおっさんがそう言ってただろ?」
白髪頭の大男を指さしながら伝えてみる。
「………………………………………………………………………………………………………………え」
「………………………………………………………………………………………………………………え?」
少女の顔がみるみる青ざめていく。
「…………話、聞いてた?」
「………………………………」
無言。こいつ、聞いてなかったな。
「そ、そんなわけなんだ。お互いのために今だけでもいいから、チームを組んでくれないか?」
だとすれば話は早い。状況的に彼女にとってもここでチームを組むことは有益のはず。
話を聞いていないことは一旦置いておいて、ここぞとばかりにソウルは少女に猛アタックしてみる。
「……なんで私なの?」
少女はソウルの胸の内を探るようにこちらを見つめる。
「……うーん、なんでだろ?」
突然の質問にソウルも首を傾げる。
理由と言われても、明確なものは持ち合わせていない。さっきの魔法使いからやめるように言われたが、何故かそれがすごく嫌だと感じたからだ。
こんな訳の分からない理由で誘うだなんて、気を悪くさせてしまったのでは無いか、と思う。
しかし、少女の反応は意外だった。
「…………え?」
目を丸くして警戒の色が解けたのだ。
だがそれは一瞬で、またすぐに鋭い目つきに戻る。
「……分かった。でも、今だけだから」
「ほんとか!?それじゃあよろしく頼むよ!」
ソウルは喜びのあまり握手しようと手を差し出す。
少女はそれを華麗に無視すると目を逸らしながらソウルの後ろに回った。
「…………」
何故背後をとる?隣でもいいじゃないか、と少し寂しく思いながらも最後の1人を探さなくてはならないとソウルは意識を切り替える。




