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最初の試験①

 目を覚ましたソウルは優美な服に包まれたお偉いさんに連れられて城のエントランスへと案内されていた。


 周りには他にも試験に合格した者が集められており、そのどれもは試験を受かった事に浮かれている様子で和気あいあいと楽しそうに話をしている。


 ソウルは知り合いがいなかったため、1人でボーッとこの後何が起こるのかを考えていた。


 歓迎会か何かでもするのか?それともお偉いさん達のありがたいお話でも始まるのだろうか?


 しばらくすると、並ぶ騎士たちの前に1人の金髪の少女が現れた。


「みな、よくぞこの試験を超えてここに集まった!」


 華奢な見た目を裏切り威厳に満ちた堂々とした口振りで話すその姿にソウルはおぉ、と感心した。


「あんな女の子がよくもまぁ、あんな風に話せるもんだ」


「おい、貴様。口を慎め!」


 そんなことを言っていると近くの男が小声で声をかけてくる。


「あのお方は、伝説の聖剣【エクスカリバー】のマナを持つ、聖女ジャンヌ様だぞ!」


「へぇ……あの人が」


 聞いたことがある。


 確かイーリストを建国した7人の英雄。彼らが持つ聖なる力が伝説の7聖剣だ。


 国を守る立場の者を【騎士】と呼ぶようになったのは聖剣を使う彼らの勇姿を称えてのことだとかつての親友ウィルが言っていた。その伝説の力を継承したのがあのジャンヌと呼ばれる聖女様なんだろう。


「早速だが、君たちはこれから見習い騎士として実際に任務についてもらう!」


 カァンッ!!!


 聖女ジャンヌは手に持った両手剣を床に叩きつけた。


 空気が凍りつくようにしぃんと静まり返る。先ほどまでの浮かれていた空気が一変し、張り詰めていく。


 凄まじいまでのカリスマ性だった。



「見習いとはいえ、世に出れば君達は騎士だ!迷っている者がいれば導き、傷つき倒れている者がいれば助け、倒すべき敵が現れれば打ち倒す。君たちにはその義務がある!」



 ジャンヌはつまり見習いだからといって甘えるな、と釘を刺したのだ。


 見習い騎士になったとはいえ、それで終わりではない。むしろこれからどうやって騎士として自分を磨けるか、と言っているのだ。



「諸君らの今後の活躍に期待する!以上だ!」



 こうしてジャンヌは激励を終える。


 たったこれだけの言葉で、ゆるんでいた空気を全て吹き飛ばし、緊張感のあるものにした。伝説の聖剣使いは伊達じゃないと思う。


 上等だ。俺だって立派な騎士になってやる!


 これから、ソウルは騎士として強くなる。そしていつかみんなを守っていける存在になるのだと決意を新たにする。



「それでは、見習い騎士として最初の任務を与える!」



 ジャンヌのそばに控えていた白髪頭の大男は声をあげる。さぁ、なんでもこい!とソウルは身構えた。




「この中で、3人組のチームを作れ!できなかったものは騎士になる以前の問題だ!早々にここから去ってもらう!」




「……は?」


 その宣言にソウルは絶望した。


ーーーーーーー


 ソウルは魔法が使えない。正確には召喚魔法は使えるが人前で使えるものではないため、普段は封印している。使えないのと同じだ。


 そんなソウルにとって、この状況は地獄だった。


 試験に合格できたのは魔法の力が強い元々貴族出身の者が多い。そして貴族は平民を見下している傾向がある。


 根っからの平民であるソウルはその時点ですでにハンデを負っていた。


 それに加えて魔法が使えないとなると、いよいよソウルをチームに入れてくれるような物好きは居ないだろう。



「やばいやばいやばいやばい!」



 慌てて周りを見渡すが、元々仲の良いグループで和気あいあいと話をしているような状態だ。仲の良い者同士で次々とチームが完成していき、みるみる人がいなくなっていく。


 まさか、騎士になったその日のうちに騎士の称号を失う……?そんな草の生えない笑い話はごめんだ!


「あ、あの」


 近くのまだチームに入れていない魔法使いに話しかける。


「あー……えっと、ごめんなさい。あの人から声をかけられてー……」


 周りに誰もいないのにそんなことを言われてかわされた。


 その後も3人ほどに声をかけるものの、全て華麗にかわされていく。


 いよいよ終わりかと思い絶望していると1人、柱の影にポツンともたれかかっている人影を見つけた。


「て、手当たり次第だ……!」


 ソウルはそいつの方へ歩を進める。その時だった。



「あ、あいつはやめといたほうがいい!」



 突然近くにいた魔法使いに腕を掴まれた。


「な、なんだよ」


「あの女……【破壊者(ジャガーノート)】だ」


「【破壊者】?」


「知らないのか!?銀髪に深紅の瞳!かつて作られた生物兵器、化け物だぞ!悪いことは言わない。僕のチームに入れてやるから……な?」


 見るともう既に男のチームにはもう1人集まっている。ソウルが入れば晴れて3人組の完成だった。


「………………」


 ソウルは柱にもたれかかっているそいつに目をやる。すると、髪の下から鋭い深紅の眼光がこちらを睨んでいた。


「…………悪い。せっかくの誘いだけど、遠慮しておくよ」


 ソウルは男の手を振りほどくと柱の方へと歩いていく。



「あぁ!僕は忠告してやったからな!!」



 男の声が聞こえるがソウルは無視することにした。

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