入団試験②
「うおおおおおおおお!?」
「ほらぁ!さっきまでの威勢はどうしたぁ!?」
開始早々、ソウルはフィールドを逃げ回っていた。
ルシアスの手から風の渦が出現し、次々にソウルへと飛来する。
それはコロシアムの壁を抉り、綺麗な円の跡を残していく。
「くっそ、よりによって【トルネード】かよ!?」
逃げ回るソウルは悲鳴を上げる。
風魔法【トルネード】。風の渦を生み出す広範囲魔法だ。
【ファイアボール】などの単発魔法であれば、距離を詰めて攻めることが出来るのだが、広い範囲への攻撃は打つだけで魔法を使えないソウルが近づくことができない。
「ちゃんと考えて魔法を選んでやがるな」
この闘技場に身を隠すための障害物はない。これではソウルの攻め方も限られる。
観客は逃げ惑うソウルを笑いながらルシアスに「いいぞ!もっとやれ!」と野次を飛ばしている。
試合を監督する審判も呆れたように試合を見ており、次の試合の準備を始めている者までいる始末だった。
「なぁ!ルシアスさんよぉ!!」
「なんだ!?」
ソウルはトルネードが抉った爪痕を眺めながらルシアスに話しかける。
「あんたちゃんと強いじゃねぇか!?なのに何でわざわざ俺みたいな魔法の使えない奴をいたぶろうなんて考えたんだよ!」
「騎士の誇りを守るためだ!!」
ルシアスはさらにトルネードをソウルに放ちながら叫ぶ。
「僕は誇りある騎士として!それに相応しく無いものは排除しなければならない!」
「それだけか!?」
ソウルはまた横に飛んで魔法を回避しながら尋ねる。このやり口……そんな純粋なものじゃないと感じる。
「……ふ」
そんなソウルを鼻で笑いながら、またルシアスはマナを溜める。
「単純に楽しいからだよ。ろくに戦う力を持たない雑魚を痛ぶるのが、至極の楽しみなのさ」
騎士の皮を被った外道がその化けの皮を剥がす。
「このような民衆の面前で雑魚を思う存分いたぶる機会なんて中々ないからな」
「.......そうか」
対するソウルは黒剣を抜いてルシアスを睨む。
「だったら……おれだってお前に容赦しねぇよ」
ソウルのその言葉に目を丸くしたルシアスは鼻で笑う。
「はっ、逃げ惑うだけのお前に何が出来る!?」
ルシアスはさらにトルネードを放ち、ソウルをフィールドの端へと追いやる。逃げ道さえ無くしてしまえばソウルに勝ち目はない。
「しまっ!?」
「あっひゃっひゃ!死ねぇぇえ!!!!」
【トルネード】。ルシアスは今日1番の一撃を打ち込んだ。




