3つの条件
「っ!頼むよ!!」
飛び起きたソウルは開口一番に叫んだ。
そこは深い森の中。傍には焚き火が焚いてあり夜の闇の中でパチパチと火が燃え盛っていた。
「うるせーぞ、ガキ」
声のする方に目を向けると、そこにはあの黒い剣を持った男が切り株に座っていた。
「ここは……」
「てめぇが連れていけって言ったんだぜ?」
男は焚き火に薪をくべると、ソウルへと向き直る。
「さて。まずはおめえの名前を教えな」
「し、シン・ソウル」
男はソウルを品定めするように観察している。少し居心地の悪さを感じながらもソウルは答えた。
「そうか。おれはシナツだ。」
淡々と自己紹介を終えると男は続ける。
「気まぐれだ。てめぇに戦い方を教えてやる」
「ほ、ほんとか!?」
ソウルは身を乗り出して叫んだ。そんなソウルをいさめるように、シナツは3本の指をソウルに向ける。
「ただし、3つ条件がある」
男はソウルを睨みながら告げる。その迫力にソウルは思わず息を飲んだ。
「1つ、召喚魔法は人前では使わねぇこと。面倒事はごめんだからな」
それはソウルもその通りだと思った。
召喚魔法が使えることがバレれば何をされるか分からない。シナツに迷惑をかけることも間違いないだろう。
だが、1つ分からないことがある。
「何で召喚魔法のことを知ってるんだ?」
ソウルはシナツに召喚魔法の話なんてしていないはずだ。なのに何故シナツは召喚魔法のことに気がついているのか。
「……昔ちょっと縁があっただけだ」
縁があった……ということは、昔他にも召喚魔法を使える人がいたのだろうか。
「2つ、期間は6年だ。6年たったら後は国の騎士団入団テストでも何でも勝手に受けてこい」
聞きたいことを聞かせぬまま、シナツは次の条件について話し始める。ソウルも慌てて意識をそちらに向け直した。
「な、なんでそんな微妙な期間なんだ?」
どうせ教えてくれるのなら、5年とかの方がキリが良くないかと思う。
「うるせぇ、黙って従え」
有無を言わさない男にソウルはため息をつく。
「分かったよ。次は?」
「そして、最後だ。こいつだけは必ず守れ」
シナツは念入りに前置きしてから告げる。
「おれの過去に触れるな」
「.......?」
それだけはよく分からないが、それで戦いを教えて貰えるのであれば安いものだと思い、頷いた。
「よし」
そう言うとシナツは立ち上がる。
「これから、6年。おれと旅をしてもらう。その中で掴めるもんは掴め。後はお前次第だ」
「分かった。シナツ」
「なんだ?」
「ありがとう」
「.......いちいちかしこまらなくていいんだよ」
バツの悪そうにシナツは告げる。
こうしてソウルは12年過ごしてきたツァーリン孤児院を出て旅に出ることになった。
もう誰も助けられないことがないように、全てを守れる騎士として強くなることを誓い、新たな人生を歩き出した。
この一歩は、これから先ソウルが歩いていく茨の道の最初の一歩となる。
こうして、シン・ソウルの騎士道物語は幕を開けるのだった。




