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12.ドキドキ遠征準備

 なんだかこう言うのも久しぶりな気がする。別にほっぺたをつままれたことが嬉しいわけはないが、最近は何となく距離を置かれていた気がしていたのだ。


「ねえ聞いてる? リク? まだ向こうから連絡来ないの?

 私も行っていいのかわからないまま向かうのはまずいよね?

 本当に泊まれなかったら嫌だもの」


「あ、ああ、魚食いたいもんな。

 まだ昼過ぎたばっかだからなぁ。

 授業とかあるだろうから三時過ぎくらいじゃねえか?」


「魚食べたいのはそうだけど、それよりもダンジョン行きたいよ。

 もう午後になっちゃったけど、今日は行かないの?」


「行っても良かったけど、朝飯の後すぐに紗由が寝ちまって起きないからなぁ。

 徹夜で調整してたみたいだから起こすのもかわいそうだろ?

 横須賀からは多分同行許可でると思うし、いったん帰って荷物まとめて来たらどうだ?」


「明日は何時くらいに出るの?

 朝だよね? そんな早くないと助かるんだけど……」


「さすがに昼には到着しないとまずいからな。

 八時くらいには出発するけど起きられるか?

 迎えに行ってもいいけどな」


「こっち泊まっちゃダメ?

 私は居間で寝るからいいでしょ?」


「虹子は朝弱いのか? 学校始まったら苦労するぞ?

 そんなに起きる自信無いなら早く寝るしかねえだろ。

 まるで子供だな」


「なによ、リクのが年下のくせに……

 不安だから少し甘えたいだけじゃないの……」


「えっ? なんだって?

 まあとにかく、早く寝るために早め行動で頼むぜ。

 荷物まとめたらもっかい来いよな。

 その間に部屋片付けて寝るところ作っておくからさ」


「部屋ってリクの部屋!?

 いやいやさすがに同じ部屋はまずいよ……」


「何言ってんだよ、子供同士のくせに。

 なんか虹子って最近やけにませてきたよな。

 去年くらいまでは一緒に風呂入ったりしてたじゃん」


「きょ、去年はもう一緒じゃないよ!

 一昨年かその前くらいまでだってば……

 リクは平気でも私はもう恥ずかしいんだからね」


 そんなこと言うなら泊まらなけりゃいいのにと思いつつ虹子を見送りながら、俺も最初の頃は不安で親父や叔父さんと一緒に寝て貰ったりしたことを思い出す。そんな叔父さんも俺が索検一級に合格し、洞窟資源取扱管理選任者、通称資取管(しとりかん)取得で一人前になると首都へ戻って行ってしまった。


 虹子が一人前になるまでにはまだまだ時間がかかるだろうけど、不安が解消できるくらいに成長するまではわがままに付き合ってやろう。そんなことを考えながら、あまりにも散らかり過ぎてどこから手を付けていいのかと、自分の部屋を見ながら立ち尽くしていた。


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