ガーナ
短めです
ガーナは無実の罪を被せられ、メイドをクビになった。
「だいたい、この女…前から怪しいと思っていたんですよ。亡くなられた奥様のお知り合いだからとお高くとまって。マリーナ様にも自分のことを母親だと呼ばせていたようなんですよ」
嘘八百を述べる義母付きのメイド。
よくもこれだけ嘘をぺらぺらと話せるものだ。
唯一の味方のガーナ。
優しくて暖かいガーナ。
彼女みたいな女性が母親だったらと呟いたことはあったかもしれない。
でも、ガーナは決して私をてなづけようとはしてなかった。
私がそんな事を言ったばかりに…
ううん、違う。彼らは私の味方を潰したかったんだわ。
だって、ガーナの後に来た義母付きのメイドは、事あるごとに、私の粗を探し義母に大袈裟に言いつけていたもの。
私のせいでガーナが、窃盗の罪を着せられるなんて…
窃盗の噂が広まると領地に居られなくなり、離婚して愛する娘さんとも離れ離れになるなんて…
不幸になるのは私だけで充分…
「マリーナ様、お召し替えをお持ちしました。お着替えしてもよろしいでしょうか」
優しいガーナ。ごめんなさい。
「何よ、これ!こんな下品な色のワンピースを持ってくるなんてどういうこと⁉︎趣味が悪いんじゃないの?」
ワンピースをガーナに投げつける。
ガッて音がなったけど、どこかぶつけてしまったのかしら。思わずビクつく。
ガーナは驚いて目を丸くしたと思うと、私の目の奥をジッと覗き込んできた。
両手を握りしめるとゆっくりと縦に首を振る。
「申し訳ありません、マリーナ様。すぐに代わりを持って参ります」
ガーナが隣の衣装室へ向かう。バタバタと忙しない音が聞こえてくる。
これでいいのよ。
夢の中だもの。
せめてガーナは幸せにしてあげないと…
右目からポツリと涙が溢れてきた。