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逆行した公爵令嬢は逃げ出したい  作者: にしかえで
2/14

変わらない父と義母と義妹

なんとなく書いてしまう

「おはようございます、お嬢様」

カーテンから差し込む日差しの中でメイドのガーナが微笑んだ。

えっ?ガーナ?ガーナはクビになったはず…


私はガーナが好きだった。包容力のある膨よかな女性。彼女の温かさに触れると優しい気持ちになった。


「ぁだっ、えっ…おはよう、ガーナ」

「あら、甘えん坊なお嬢様。ええ、ガーナはいつも元気ですよ」


抱きつく私の頭を優しく撫でる。クビになったはずのガーナ。小さな私の身体。

私は昔の夢を見ているのかしら。幸せだった頃の。


「夢みたい」

「夢じゃありませんよ、お嬢様。今日は婚約者のリチャード様と初顔合わせの日ですから可愛くしましょうね」

小さく笑いながら、私の髪を櫛で優しく梳く。 

この時間がずっと続いたらいいのに。



∞∞∞∞∞


「おはようございます、お父様、お義母様」

ダイニングには父と義母が既にいた。私の存在はまるでないかのように全く反応はない。

ピクリともせず、父は優雅に食事を続ける。

義母は一瞬憎々しげに視線を向けたが、声を発することなく目の前のスープに口をつけた。


いつものことね。私は忌まわしい存在だもの。

どうして夢なら幸せなところだけを流してくれないの?


スープに口をつけると、夢のはずなのに胃が満たされ温かくなるのを感じた。


やけにリアルな夢ね。


「おはようございます、お父様、お母様」

アマンダが可愛らしくポテポテと歩いて入ってきた。

リチャードに会う日ってことは、アマンダは12歳かしら。この5年後に私は婚約破棄をされるのね。


「おはよう、アマンダ」

表情はあくまでも崩さないが、アマンダに顔を向けて父が挨拶をする。


「おはよう、アマンダ。可愛らしいこと」

誰かとちがって、と私のほうを横目でみる。

そんな義母をみて、顎を上げひけらかすようにこちらを見るアマンダ。


「おはよう…」

誰も返事することない空間に向けて言葉を発する。

義母とアマンダの声でその声はかき消されていった。


∞∞∞∞∞


「お可哀想に、お嬢様」

歯を食いしばり悔しそうに言うガーナ。


「ううん、ガーナがわかってくれたらそれでいいの」

どうせ3人はわかってくれない。これからもずっと。

あぁ、何故こんな夢をみてしまうのだろう。

この痛みは現実のものなのだろうか。

私は死んでしまったのだろうか。


まるで前に読んだ小説のよう。

タイムリープ。過去に戻れたらと希望を抱いた。

魔法でも決してありえないが神様に戻して欲しいと。

私が産まれる前に戻して、お腹の中の私を殺して欲しい。




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