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逆行した公爵令嬢は逃げ出したい  作者: にしかえで
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ダグラスとの密会

図書館まで馬車で向かう。


今朝私が行き先を図書館と告げたとき、義母もアマンダも興味なさそうにいつものように鼻であしらっていた。


(予想通りアマンダは本に興味がないから図書館にくることはないわ。

2人の態度も変わったところはないから、ダグラスとの件はバレていないようね。

でも、お茶会や貴族の家に行くときには必ずついて来ようとするのに、図書館へはついてこないということは、この御者も彼女達のまわしものなのね。

きっと私の手紙をチェックしていて、誰とどんなことで会うのかを監視しているんだわ。

偶然ダグラスと会えなければ個人的に話す機会なんてなかったのかもしれない。

あの2人にダグラスの存在がバレぬよう、この御者には注意しておこう)




「ごきげんよう、ダグラス様。今日は無理なお願いを聞いていただきありがとうございます」

淑女の微笑みを浮かべ、軽くお辞儀をする。


「こんにちは、マリーナ様。私も興味があったので気になさらないでください」

明るい空のようにきれいな瞳をきらりと輝かせる彼の笑顔は、明るく誠実そうで彼の人柄そのままだった。

彼の側にいると不思議と心が安らいだ。


婚姻前の男女が二人きりで密室にいることは外聞上とてもよろしくない。

かといって、二人きりで話しているところを他の誰かに見られてしまってはいらぬ噂を立てられてしまうかもしれない。


そこで図書館の裏側にある庭園のみえるテラスの椅子に腰を掛けて話している。

図書館の裏口を背に庭園を眺めながら、テーブルを挟んで横に座っている。パッとみたところ、二人はたまたま横に座っているだけにみえるはずだ。

それに今日は雨なのでテラスにも庭園にも人はいない。

もともと図書館自体そこまで貴族の子息令嬢は来ないので、密会がみつかり噂になることもないだろうが、用心のためだ。




「こちらがお話しした家系図です。ごゆっくりご覧ください」

差し出された家系図にはかなり前の代からの男爵家の系図が記載されている。


(大昔の人が私に何か関係してくる可能性は低いだろう。

あって2世代か3世代前までだろう。


(没)祖祖父 (長男) グレイソン・オルティス

(没)    (次男) 

(生)祖祖叔父(三男) フランクリン・オルティス→婿入

(没)祖祖叔母(長女) マチルダ・オルティス→嫁入

(没)祖祖母      フローレンス・オルティス


(生)祖父  (長男)ブライアン・オルティス

(生)大叔母 (長女)アラベラ・オルティス→嫁入

(生)大叔父 (次男)クライブ・オルティス→婿入

(生)大叔母 (次女)アイリス・オルティス→嫁入

(生)祖母      レイラ・オルティス


(没)    (長男)

(没)母   (長女)クリスティーナ・オルティス→嫁入

(生)義母  (次女)ジュリアナ・オルティス→嫁入

(生)叔父  (次男)ダグラス・オルティス


家系図をもとに頭の中で整理をしてみる。


(やはりエディにあたる名前のひとはいないわね。

念のためもう数代前も確認したが該当者はいなかった。

祖祖父の弟と、母の兄は名前もかかれていないけれど、生まれてすぐに亡くなったのかしら。

前にも思ったけれど、義母とダグラス様は年齢が離れすぎているわね。

年齢が離れているからてっきり義理の姉弟だと思ったけれど、実の姉弟だったのね。

祖父はなぜ跡取りが生まれる前に母を嫁入りさせたのかしら。

なぜ跡取りが大きくなる前に義母を嫁入りさせたのかしら。

この長男が母が嫁入りするまで生きていたとしたら?

それともここに記載されていない子供が義母とダグラスの間にもう一人いる?

誰か養子がいてダグラスの出生と共に養子縁組解消されたとか?

とりあえずこの亡くなられた長男の出生を調べてみましょう)




「ダグラス様にはお兄様がいらっしゃったのですね」


「えぇ、生まれてすぐに亡くなってしまったようなので、私が生まれるまではジュリアナ様が当家を継いで婿取りをする予定だったようなのですよ」


「母ではないのですか?長女がいるのにそれはおかしいですね」

小さく小首を傾げる。


「えぇ、クリスティーナ様ではなくジュリアナ様と聞いています。たしかに長女を差し置いて次女が継ぐなんて不思議ですね。おそらくディミトロフ公爵様との婚約が決まっていたからなのでしょう。噂では公爵様はクリスティーナ様に一目ぼれをされていたといいますから、男爵家としては当主の座よりも公爵家との縁組を優先させたのでしょう」


「そういうことなのですね。ダグラス様は待望の男児ですし、年の離れたお子様だから大層大切にされたでしょう。小さなころはご病気などはなさらない元気なお子様だったのですか?」


「えぇ、とても過保護なくらい大切にされました。小さなころから風邪一つひかない元気な子でした。出生時4000グラムもあって主治医も産婆もとても驚いていたようです」


「ふふふ。それはとても大きいですね。オルティス家のある地域ですとニース協会の産婆ですか?あそこは腕がよい産婆が揃っていると評判ですわ」


「よくご存じですね。オルティス家では代々ニース協会の古株の産婆に取り上げてもらっております」


(この産婆と連絡がとれたら長男の死因などわかるかしら)



お礼を言ってダグラスとは解散した。金色の髪を靡かせ優しく微笑むダグラスの姿が絵姿でしかみたことない母の姿と少し重なった。



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