サラ、レントに興味を持つ
レントに向かって喚き散らして、シフルは立ち去った。
「…………なんなんだ、あれは」
あれが王都の貴族というものなのか。
しかし魔法の実力はたしかなものだった。なにしろ分裂した上、レントが弾いて威力が減衰されたはずのウィンドブラストであの威力だ。さすが現代魔法はレベルが違う……とレントは思っている。
「あ、あの……!」
ディーネが呼びかけてきた。
「ああ、そうだった。大丈夫? 怪我はない?」
「は、はい! 助けていただいてありがとうございます」
「ううん、大したことはしてないよ」
「それはどうかしら」
と、赤髪の少女——サラが口を挟んできた。
彼女は腰に手を当ててレントを睨んでいた。
「あの威力……どう考えてもシフルのヘボ魔法じゃなくてあなたの力でしょう? なんでCクラスであんな魔法が使えるの?」
真剣な口調のサラ。
しかしレントは納得がいかない。
「君までからかわないでほしいな。俺は魔力値ゼロって言われたんだよ? そんな強力な魔法を使えるわけないじゃないか」
「あなたが、あのときの……?」
サラの目が鋭くなる。
レントが魔力ゼロと測定された場には、サラも残っていた。レントの姿は見てなくても、あのときの騒ぎは知っていたのだろう。
「そんなバカな話があるわけないでしょう? さっき黒フードのやつらを追い払った魔法だって信じられない威力だったわ。この私でも太刀打ちできなかったのに!」
「いやあれは相性の問題で……」
どうしよう。なんか色々と勘違いされてしまっている。
「教えなさい! あなたは何者!? なんであんな魔法を使えるの!? どうして実力を隠してCクラスに入ったの!?」
「ちょっ……近い近い近いって!」
ぶつかりそうなくらいレントに迫って顔を近づけてくるサラ。
息が鼻に当たる距離だ。
その勢いと、彼女の整った顔に戸惑っているところに、教官が数人駆けてきた。
「おい、君たちか、さっきの魔法は!」
面倒なことになりそうだった。
○
王立魔法学園の入学式で起きた石像破壊事件は、生徒同士のいざこざということでケリがついた。
けっきょく、誰の魔法が破壊の直接の原因だったのかはわからないが、タンブルウィード家の名前が出たことで、事件は内々に納めることになったようだ。
後から聞いた話だが、タンブルウィード伯爵家は、王国全土の魔法使いを管理する魔法省の長官を代々務める家柄で、魔法関連の人事には強い発言力を有するとのこと。
魔法学園も、かの家とは良好な関係を保っていたいようだった。
その日の入学式は中止となり、式は改めて翌日開かれた。
校長の石像の姿は、その場にはなかった。
今日はここまで!
こんな感じのノリで進んでいきます!
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