レント、入学式へ向かう
すみません今回ちょっと短いです。
「はーあ……」
レントはため息をつきながら、マナカン王国立魔法学園への道を歩いていた。
王都の大通りである。両脇には王国の国章である獅子の旗が翻り、街は華やかな雰囲気に包まれている。
対照的にレントの心は重い。
なにしろ先日の入学試験でレントは魔力値がゼロと測定され、最低のCクラスに入ることになってしまったのだ。
筆記試験と面接試験が満点という快挙だったため、彼の落ち込みはより大きかった。
レントはファーラント家の屋敷で、先祖である伝説の大魔法使いが残した書物に書かれた魔法をことごとく再現することができた。
だから自分はあの大魔法使いの再来だと思っていた。父もそう言って喜んでいた。
ファーラント家の再興を成し遂げ、父や母や妹に貴族らしい生活をさせてあげられると、そう思っていたのに……。
生物が体内に持っている魔力とはべつに、空気中には微量魔力というものが存在している。
魔力ゼロのレントはどうやら、この微量魔力を使ってなんとか魔法を扱えていたようだった。
つまり、レントが実践してた数々の魔法は全然すごいものではなかったらしい。
「そりゃそうか。もう八百年も経ってるんだ。魔法だって進歩してるよな……」
ファーラント家の祖先の伝説の大魔法使いが、マナカン王家の始祖である勇者とともに魔王を討伐したのは八百年前。
当時最先端だった魔法技術は、今では時代遅れの遺物でしかないということだったのかもしれない。
「ま、落ち込んでても仕方ないか」
レントは両手でパンパンと頬を叩くと、そのまま両腕を上に持ち上げた。
見込み違いだったことは諦めるしかない。
幸い不合格にはならず、最低のCクラスとはいえ魔法学園に入学することはできたのだ。
真面目に学んで、少しでもいい仕事を見つけて、父と母と妹に楽をさせてあげればいいのだ。
「よーし、やるかー」
レントは気分を切り替えて、魔法学園への道を行く。
基本的に楽天的な性格なのだった。
ブクマと評価ありがとうございます!
そして感想もいただきました! 感謝!
次は16時ころ更新。
次はちゃんと長いです!