Cクラス、モンスターに襲われる
その後もダンジョンは同じような一本道が続きつつ、少しずつ地下へ降りていった。
メダルは二枚目以降も、巨大なものが道の真ん中に落ちており、見つけるのは難しくなかった。
ただ、必ず『ヌメヌメ』のトラップがあって、しかもそれはだんだん手が込んだものになっていった。
「よし、今度は引っかからないぜ」
上をチェックしてからメダルに近づいたムーノに、地面から吹き上がったヌメヌメが襲いかかる。
「馬鹿ね。初めから魔力をまとわせておけば、嫌がって近づいてこないじゃない——きゃああ!」
サラが魔力をまとったとたん、逆に魔力を吸うドレイン能力を持ったヌメヌメが襲いかかってきた。
「あ、あの、最初はメダルを無視して通り過ぎればいいんじゃないでしょうか……ひゃああああ!?」
メダルを避けて通り過ぎようとしたディーネはうすーく張られたヌメヌメの壁にぶつかってしまった。
「くそっ……今度のはなんだ!」
レントも何度もヌメヌメに足を取られて転んだり、身体中ヌメヌメにされたりした。
そうして、五枚目のメダルに辿り着くころには、四人全員がヌメヌメになっていた。
「ああ、もうっ、気持ち悪い!」
「お風呂に入りたいです……」
「なんなんだよ、この試験……」
「疲れたね……」
四人ともとにかくヌメヌメしながらため息を吐く。
疲労感はヌメヌメのせいだけではなく、ヌメヌメを避けるために魔力をたくさん操作したせいだろう。
「とにかくこのメダルで五枚目だ。これ持って引き返そうぜ」
ムーノがそう言ってメダルを持ち上げる。
「ムーノ、危ない!」
「ああ? もういいよ。どうせこれ以上ヌメヌメしたって大して変わらないし——」
「違うわよバカ! 地面が……!」
「え? ——うわああああ!」
四人の足元の地面が突然崩れたのだ。
ガラガラと音を立てて、四人はダンジョンの下層に落下していく。
「ウィンドパウンド!」
レントはとっさに風魔法を展開する。
四人の下に空気でできたクッションが出現し、柔らかく受け止めた。
「みんな、大丈夫?」
「ああ、なんとか……」
「今度はなんでしょう? これも試験なんでしょうか?」
「……いやあああああああ!」
突然、サラが凄まじい悲鳴をあげた。
驚いて目を向ければ、そこには巨大な蜘蛛型のモンスターが大量に群がっていた。
○
「く、くくくく、蜘蛛おおおおおお!」
蜘蛛モンスターたちがガチガチと牙を打ち鳴らす。
サラとムーノとディーネは一目散に駆け出した。
レントだけはその場に残る。
「レント!? なにしてるの!」
「俺はここで足止めする! みんなは逃げて!」
「そんなことできるわけ——」
「大丈夫だから! サラは二人を頼む!」
「っ!」
レントの言葉にサラは悔しそうに頷いた。
三人が離れていくのを見送って、レントはモンスターたちに向き直る。
膨大な魔力だ。しかも強い怒りを感じる。さっきまでのヌメヌメとは全然違う。
多分こいつらは、校長が用意した試験用のトラップではない。
たぶん校長ですら不測の事態だろう。
(見守ってくれているはずの校長先生が現れないのが気になるけど……)
なんにしろ本気でかからないとマズい相手だ。
レントは魔力を練り上げる。
一気に倒す。とはいえ、攻撃範囲が広すぎるとダンジョンが崩落してしまう。
(だったら、これか……!)
「——ダークアブソープ!」
闇属性、第七位階魔法。
暗黒を生み出し、物体をその中に閉じ込め消失させる魔法だ。
暗いダンジョンの中に、なお暗い闇の球体が出現し、蜘蛛モンスターたちはそこに飲み込まれた。
球体が消えると、そこには初めからなにもなかったかのようだった。
「ふぅ……」
レントは息をつく。
「きゃあああああ!」
遠くからふたたびサラの悲鳴が聞こえた。
レントは慌てて三人のところへ向かう。





