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レント、魔力ゼロと宣告される

 レントは緊張しながら魔力測定器の前に立った。


 いくつかの魔石と魔力回路で造られた精緻な魔道具だ。


 レントはじっくり観察したい気持ちになる。


「はい、そこに手をかざして」


 しかし試験官に促され、中央にある魔石に両手をかざす。


 なんの反応も起こらない。


 試験官がこちらを見もせずに言ってくる。


「なにしてるの、早く両手を中央の魔石にかざして」


「あの……もうやってますけど」


「え?」


 レントの言葉に、試験官が顔を上げる。


 レントの姿と、自分の目の前の魔石を交互に眺める。


「あれ、変だなぁ。まさか故障? さっきまでなんともなかったのに……」


 と、そのとき、ようやく試験官の前の魔石が光を放つ。レントの測定結果が出たようだ。


 安心した様子でそれを見る試験官。しかしその表情はふたたび困惑に染まってしまった。


「魔力潜在値0、放出量0、純度0パーセント……総合値0。え、なにこれ?」


 困惑はレントも同じだった。なんか縁起でもない数字がたくさん連呼された気がしたんだけど。


「どうした?」


 異変を感じ取って、隣の試験官が近づいてくる。


「それが……見てくださいよ、これ。故障ですかね?」


「総合値0? ありえないだろ。おい君、いったん手を離して、もう一度かざしてみたまえ」


「あ、はい」


 レントは言われるままに、手を魔石から離し、もう一度近づける。


 試験官の方にある魔石の光がいったん消え、しばらくしてまた光る。


「……やっぱり0だな」


「0ですね」


 そうゼロゼロと連呼しないでほしい。


 次第にほかの試験官や、測定を終えた受験生まで集まってきてしまう。レントはひどく気まずい。


「やっぱり故障じゃないのか。君、こっちの測定器にきてくれ」


 そう言われ、隣の測定器に手をかざすレント。


 しかし、やはり結果は同じ。全ての数値が0を示していた。


 さらに、それらの測定器で、別の受験生や教官が魔力を測定したところ、問題のない数値が表示された。


 故障ではないようだった。


 つまり……。


「本当に、0?」


「そうみたいだな」


「そんなこと有りうるのか?」


「だが、測定器は正常に機能しているんだ」


 教官たちはほかの受験生の測定そっちのけで問答を始める。


「原理上、魔力のない生物は存在しないんだぞ。ミミズだってオケラだってアメンボだって多少の魔力は有しているもんだ」


「つまり彼はオケラ以下ということか?」


「しかし、この結果を見てください。筆記試験と面接試験は満点なんです。面接はともかく、筆記は、ある程度魔法の実戦経験がなければ満点は取れない内容です」


 一次試験と二次試験は素晴らしい成績だったらしいが、直前にオケラ以下とか言われているのでレントは素直に喜べない。


「うーん、まあ、空気中の微量魔力を用いれば魔法は使えるからなぁ」


「であれば、入学させないというわけにはいかないでしょう」


「魔力ゼロなのに?」


「魔力ゼロですけど」


「魔力ゼロじゃなぁ……」


 魔力ゼロ魔力ゼロと連呼したすえ、うーんと唸る試験官たち。


 レントは耐えきれなくなって問いかける。


「あの、けっきょく俺はどうなるんでしょう……?」


 試験官たちはいっせいにレントを見て、それからまたお互い顔を見合わせ、うーんと唸ってから、


「ま、Cクラスかな」


 そう告げた。


 こうして、華々しく復活を飾るはずだった、伝説の大魔法使いの末裔であるレント・ファーラントは、最低ランクのCクラスとして王立魔法学園に入学することになった。

さっそくブクマ、評価ありがとうございます!

次はお昼ころ更新予定です。

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え、みんな古代魔法使えないの!!???~魔力ゼロと判定された没落貴族、最強魔法で学園生活を無双する~
― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しく読ませて頂きました。 続いての更新、お待ちしてます。
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