レント、魔法を披露する
本日2回目の更新です。
Cクラスの魔法の実践授業。
次はレントが魔法を使ってみる番になった。
レントが魔力ゼロなのにこれまで魔法を使えていたのは、空気中の微量魔力を使っていたから、ということらしいが、レント自身は自分の中にある魔力を使っているつもりでいた。
魔力を操るイメージもそうしていたので、今回もそうすることにする。まずは使い慣れたやり方で行くのがいいだろう。
レントは手を掲げ、魔力を集中させる。
手に魔力が集まってくる。
サラはかなり実力のある魔法使いのようだ。
その彼女の魔法で焼け焦げる程度で済むくらいだから、的はかなりの魔力耐性があるのだろう。
レントの時代遅れの魔法では、手を抜いたら変色しないかもしれない。
だから全力で行く。
「——ファイアショット」
火属性、第一位階魔法。
レントが初めて覚えた魔法である。
威力はそれほどではないが、一番使い慣れている。
単純な構成に、ありったけの魔力を込めて放つ。
火球がレントの手から的へと飛んだ。
「「「「え?」」」」
その場にいた五人——レントも含めて——全員が驚きの声をあげた。
的が一瞬で消し炭になった。
焼け焦げたとかそんなレベルではない。
一瞬で燃え尽きて、残った真っ黒な灰がパラパラと地面に落ちた。
(あれ? 意外と脆い……?)
レントがそんなことを思っている間に、彼の放った魔法はさらに飛んでいく。
火球はどんどん大きくなり、しまいには校舎に激突して、その一角を破壊した。
轟音が響き渡る。
『うわっ、なんだ!?』
『魔法攻撃だ! この規模は……エンシェントフレアか!?』
『バカ言うな! 学生がそんな魔法使えるかよ!』
『ぎゃー! 逃げろー!』
『丸焼きは嫌だぁ!』
校舎は大騒ぎになる。
「……………………あれ?」
レントは想定外の事態に戸惑う。
あの的は、相当丈夫なんじゃなかったのか。
ついでに言えば、学園の校舎には防御魔法がかかっていると思っていたが、ひょっとして無防備だったのだろうか。
いや、きっとそうに違いない。
戦争終結から五十年も経っているのだ。
必要のない箇所の防御魔法なんかは撤去して、魔力の無駄遣いを抑えたりしているのだ。
だからこそレントの時代遅れの魔法でも、あんなことになってしまった。
そうに違いないとレントは考える。
ミリアが呟く。
「魔法学園の建物は全部、強力な防御魔法が施されているはずなのに……」
「………………」
推測は間違っていたっぽい。
どういうことだろう。
困惑しているレントに、ディーネとムーノが駆け寄ってくる。
「す、すごいですレントさん!」
「お前すげえなぁ! 本当にCクラスかよ!」
「いやあ……うん……」
なにがどうなっているのかわからず、レントは曖昧な返事しかできない。
ミリアが言う。
「ま、まあでも、レントくんの適性は火属性ってことで間違いなさそうね」
「いいえ」
と言ったのはレントではなくサラだった。
「彼は他の属性も得意です。ぜひ他の属性についても調べてみてください」
「いや、あの、でも一番得意なのは火属性なんだけど」
「術式防御を施された石像を破壊したあの風魔法で得意じゃないとでも? 黒フードを撃退したあの魔法は!?」
「近い近い近いって!」
レントは前みたいに詰め寄ってきたサラから逃げる。
「隠すなんて許さないわよ! あなたの技術は全部見せてもらうわ!」
ふんっと鼻を鳴らすと、サラはミリアに向き直る。
「教官!」
「にゃ! にゃにかしら!」
すごい剣幕でサラに名前を呼ばれて、ミリアは噛み噛みで答える。
「適性は満遍なくしっかり調べるべきです!」
「そ、そうね……」
勢いに押されるようにミリアは頷いた。
「……とと、とりあえず、レントくんの適性は、明日新しい的を用意して確かめることにするわ」
次は夜更新予定です!





