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地味令嬢結婚が決まる

以前も同様のタイトルであげていたのを少し、書き直しました。

昔々あるとこに深紅の髪を持つ悪い魔女がいました。悪い魔女はその膨大な力で人々に災いをもたらし、人間たちが苦しむ姿を見ては楽しんでいました。しかし、それを見ていた白い女神は魔女から力を抜き取り世界のあちこちに飛ばしてしまいました。力を失った魔女は人々の手によって処刑され、世界にはまた平和が訪れました。


◇◆◇

「アリヌアーヌ・フランチェスカ・カタパルフォフ」なんとも長ったらしい名前だが、それがアリアの正式な名前だ。アリアはカタリス王国の伯爵家の三女として生まれた。美しく優しい姉2人そしてかわしい弟2人の5人兄弟の真ん中というなんとも微妙な立ち位置。アリアはすべてにおいて自分は「陰」の存在であり、運命なのだと自負している。

それは彼女の誕生にまで遡る…伯爵家としては世継ぎである「男」がなんとしても欲しかった。しかし3人続けての女。アリアの誕生はけっして喜ばしくないわけではないが、今度こそはという「期待」の分周囲の落胆は大きかった。そのため、そのあとすぐに生まれた弟に対する周囲の期待と喜びはひとしおであり、その瞬間「アリア」は目立たない「陰」という立ち位置が確定したのであった。

アリアはそうして、地味に目立たず期待もされず育った。決して家族からの愛を感じていなかったわけではない。むしろ大切にされていたと思う。しかし、三女ともなれば子育てに慣れが生じる。それに加え世継ぎである「弟」の世話にどうしても手が回ってしまうのは仕方がないことだ。社交界の花と呼ばれる一番上の姉「アリス」や天性の歌声を持ちコンサートにひっぱりだこの二女「アリミア」世継ぎの弟「フィン」やかわいい天使の「フィル」とは違い、穏やかに静かに領地で過ごした。姉弟に嫉妬などはなかった。どこか自分とは違う人たちなのだと逆にそんなキラキラした世界の人たちとともに過ごせることをうれしく思った。本を好みその世界への妄想もとい思いを馳せる。それがアリアのすべてであった。

もうすぐ20となり「成人」を過ぎた今でもアリアはこの田舎と呼ばれる「領地」での生活をとても好んでいる。地味だが温かく穏やかな毎日が自分にピッタリであるとも感じている。そんなある日アリアは珍しく父に呼ばれた。

「アリアお前に結婚の話が来ている」

それは唐突な話であった。

「私ですが?アリミアお姉さまではなく?」

アリアは素っ頓狂な声で返事をする。一番上の姉はその美しさを見初められ5年ほど前に公爵家へと娶られていった。そのため今未婚なのは「アリミア」と「アリア」である。しかし、自由奔放な姉「アリミア」は歌声を国中に届けるためコンサートツアーの真っ最中であり不在である。適齢期をもうすぐ超えようとしている姉に父は早く結婚してほしいようであれはこれはと「見合い話」を持ち込んであるようだが、ことごとくアリミアには断られしまいにはツアーという名の家出をしているとったほうが正解に近い。いい意味でも悪い意味でも彼女は自分に正直である。アリアはそんな彼女が輝いて見えた。だから、いまでも結婚話といえばアミリアに対してのみでアリアには一度もなかった。もちろん、あのカタパルフォフ家の娘だと興味本位で声をかけてくる人はいた。しかし、どの人もアリアをみて去っていった。どこか期待が外れた目をして…アリアは期待にそえないのだ。

『地味なのは仕方のないことだわ』期待されても結局は答えることなどできないことはこの19年間の人生の中で嫌というほど学んだ。だから、アリア自身は生涯結婚することもなく、弟が爵位を継いだら修道院にでも入り地味に穏やかに本と妄想の世界で生きようと考えていた。

「アリミアではない。アリアお前にだ。お前ももうすぐ20になる。ちょうど年の合う相手との縁談が来ている。その男との妻となるために王都に行きなさい。」

それはまるで結婚することが決まっているような言い方であった。アリアとて貴族の娘である。恋愛結婚をすることは難しいとわかっていた。しかし、結婚とは婚約期間を得てお互いを知り相性を見たうえで行われるものだ。このような唐突な結婚話は珍しい。アリアは一瞬怪訝そうな顔をした。その顔を見た父が続けた。

「アリアお前だからこそこの話が来たのだ。この結婚はわがカタパルフォフ家にとって重要なものとなる。おまえに「期待」しているのだよ」

その言葉にアリアは目を見開く。生まれて初めて父が私に「期待」をしたのだ。地味なカタパルフォフ家三女の私に「期待」をしてくれている。その言葉にアリアは心が動かされた。この「期待」に応えなくてはそう一瞬にして決めるほどアリアはうれしかったのだ。

「わたりました。お父様が決めてくださったこの結婚。お受けいたします。」

そうしてアリアの結婚が決まった。


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