第十話 僕の勇気と探求部
「あっはっはっはっ! マジおもしれー。笑いすぎて腹が痛い」
次の日に学校で慧悟に会った際に、彼女を追いかけたことを話した結果がこれである。
「そこまでに笑う……?」
「いや悪い。雄馬がせっかく勇気を出して女の子に近づいたのに、変質者扱いで終わったのがな。………ぷはぁっ!」
ひ、酷すぎる。僕なりに頑張った結果を話しただけなのに。
それにしても慧悟は僕を手伝ってくれるって言ってなかったっけ?
別に全てを当てにしていたつもりではないけれど、さすがに酷すぎる。
「でもさ、その努力のおかげで一つわかったことがあんだろ?」
今ひとつピンとこず、何と視線で問う。
「例の女の子はこの学校の生徒だってことだよ。帰りに校舎内で会ってんだから」
それもそうか。
ということは、最悪な話で言えば、この学校の生徒全員を見て回れば必ず会えるということだ。
「この学校の生徒は全部で千人超えてるんだよ? 一人一人捜すとなると……」
そんな苦労は想像したくもないが、最終的に彼女を見つけれる可能性はあるわけだけど……。
「だからこその探求部があんだろ?」
「え?」
どうしてそこで探求部に繋がるんだろうか。意味が分からない。
「生徒に関するお悩みとか探求部で取り扱ってんだよ。まあそこの情報網使えば比較的簡単だろ? 事情を話せば部長も恵佳も協力してくれるさ。その子の特徴とか覚えてんだろ?」
そういうことか。まあ後ろ姿ぐらいは伝えられるかなぁ。
「バストサイズわかるよな?」
「…………」
知ってるわけないじゃないか。仮に知っていたとして、それでどうやって彼女を特定できるというのだろうか。
「じょ、冗談だっての。だからそんな目で見るなよ………」
会話の流れを切り替えるためか、慧悟は幾らか咳払いをすると、
「とにかく! 放課後になったら部室へ行こう。とりあえず部長にも相談しとくからさ」
まったく。こういうところはかなわないなぁ。
すぐフォローできるのは、相手のことをちゃんと理解してるからなのだろう。
僕は黙って心の中で彼にお礼を述べることにした。