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8 模擬戦

よろしくお願いします。

 イリスと、剣術の稽古を始めてから数時間が経ち、私とイリスは向かい合って立っていた。


「始めましょうか。お嬢様」

「ええ」


 私たちは、剣を構えた。私は少し緊張していたけど、イリスはそんな様子がなかった。


「とりあえず、お嬢様が攻めて来てください」

「じゃあ遠慮なくいくわよ」


 私は地面を蹴ってイリスとの距離を縮めた。今の私が出せる最高スピードでだ。

 私は、そのままのスピードで、剣を横に振った。

 しかし、それはイリスが構えた剣に止められた。

 しかもイリスの剣は、私の攻撃を受けたことでは、びくともしなかった。

 私とイリスの剣がせめぎ合う。

 実際は、私が力を入れてイリスを押し込めようとしていて、イリスがびくともしてないだけだけど。


「お嬢様、そんなものですか」

「まだまだ!」


 私は、一度剣に、思いっきり力を込め、その反作用で、イリスから距離をとった。そして、私の足が地面を捉えると、重心を前に倒して一気に足を進める。

 今度は、剣を横に振るのではなく、縦に振った。イリスは、剣を横に構えてそれを受けた。が、それが私の狙いだった。さっきのせめぎ合いでイリスに力で劣っていることがわかったので、剣と剣がぶつかった瞬間、力の跳ね返りを利用して剣を私の方に戻し突きを放った。狙いは、イリスが私の一撃目を受けるため腕を上げていることでガラ空きになっている横腹。

 しかし……


「ーーな!」


 イリスは余裕の表情で、軽く横にステップを取り、私の地球二撃目を避けた。

 私はというと、前屈みで重心が前の方になっていたので、そのまま倒れてしまった。

 軽く膝を打ってしまったけど、すぐに立ち上がっる。


「大丈夫ですか、お嬢様」

「ええ、大丈夫よ」


 少し膝が痛いぐらいだし、うん、何も問題ないね。


「初めてにしては、今の動きはよかったですよ」

「嫌味かしら」

「いいえ。素直な称賛です」

「ふーん」


 にしてもイリスかの実力で、そこそこなのかしら? まだイリスの実力が相当なものだと言われた方がわかるのだけれどそこそこだと言ってたし、やっぱりこの世界の剣術のレベルが高いのね。

 そうに違いないわ。


「お嬢様、まだやりますか」

「やるわ」


  イリス次は、勝つ!


  ※※※


 1時間後……


「はあ、はあ、勝てない」


 あれからずっとイリスと模擬戦しているのだけど、全く勝てる気がしない。ギリギリ惜しいところまでいくのだけどそのあとすぐ反応が良くなるの。まるで、私が勝てるか勝てないかぐらいの実力で戦っているみたいに。

 体力の差も圧倒的で、私は汗だくだくで息も上がっているのにイリスは、少しだけ汗をかいている。けどその程度で、息も上がっている様子もない。

 

「お嬢様、そろそろ終わりにしましょう」

「ええ、そうね。

  それにしても、イリスの体力は、無尽蔵なのかしら」

「ーーただお嬢様の体力がないだけかと思います」


 イリスの言葉が、私の心の奥深いところに突き刺さった。


「それに、剣を振っているときに無駄が多すぎます。無駄が多いから、余計体力を使うんです」


 またしても、心の奥に突き刺さり、私の小さい心は、一気に崩れ去った。


「それにーー」

「イリス、ストープ。もうそれ以上言わないで。これ以上私の心を壊さないで」


 私の悲しい声が、屋敷の庭に、響いた。


ご感想、ご意見お待ちしています。

※間違い等がありましたら、ご報告していただけると嬉しいです。

次は、3月15日までに更新します。

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