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31 弟

弟、登場です。

 私が耐性をつけるために毒を飲んだ日から数日がたった。


 この日はポルトとリーシャが後日連れてきた、4人を含めた7人で勉強をしていた。もちろん教師はリリア。まあ、勉強といってもポルト達6人は簡単な計算はおろか、読み書きさえできないのでリリアが文字を教えている段階なのだが。


 だから、私は同じ部屋にいるけど自習みたいなことをしている。内容は医学。

 そうあの難しい学問として有名な医学をやっているのである。……何故に?


 何で私、医学なんて学んでいるのかしら。普通、考えて医学なんて貴族の令嬢の学ぶような学問ではないはずなのに。貴族の中で学ぶとすれば、代々家系的に医者を生業にしている家系だと思うし。アクシア公爵家は家として医者をしているわけでもないのにね。


 それは置いておいたとしても、さすがに医学に関しての知識をリリアやイリスが持ち合わせているわけもなく、私の医学の先生は医者(せんせい)にお願いしている。というか、リリアがお願いした。

 え、じゃあ何で、今医者(せんせい)がいないかだって。それは、基本的に医者(せんせい)の医学の授業は、夜、毒の耐性をつけるために毒を服用している間にしているからだ。

 私はあの後から、ほぼ毎日、種類の違う毒を服用して毒の耐性をつけている。まあ、いつも何も感じなくて、お水を飲んでいる感覚なのだけどもね。

 話が逸れたけれど、意外と医学って楽しい。だからかもしれないけれど別に一人で自習していても苦にはなっていない。分からないところがあれば、夜先生に聞けばいいしね。


 あ、そうそう話は戻るけどポルトとリーシャが連れてきた4人は、ポルトとリーシャの友達だったらしい。で、ポルトとリーシャが私に仕えることになったと聞いて、自分たちもと言ってきたのよ。面白そうだったから私がそのまま迎えたのよ。

 ちなみに男の子二人、女の子二人。誰も何をしたいかは考えていなかったようだから、今のところ男の子は騎士、女の子は侍女として仕事を教えている。まあ、将来どうなっているのかは分からないけれどね。


「お姉さま!!」


 私たちが勉強していた、部屋の扉が大きな声とともに開かれた。


「まあ、ロスタじゃないの」



 部屋に入ってきたのは私の弟のロスタだった。

 ロスタは私と2歳年が離れていて、私と違い、基本お母様といる。お母様が王都にいれば王都に、こちらの屋敷に来られたらこちらの屋敷にいるのだ。

 逆に言い換えればロスタが来たということはお母様が来たということでもある。


「いけませんよ、ロスタ。いくら久しぶりにユリシアに会えるからといっても最低限の礼儀作法を忘れてはいけません」


 あーあ。お母様の雷が落ちた。お母様は、マナーとかには厳しい人だから仕方ないわね。


「だって」

「だってではありません」

「ごめんなさい」


 さすがお母様、怒ったら怖い。リリアぐらい怖い。ロスタも涙目ね。


「お母様、お久しぶりです」

「あら、ユリシア久しぶりね」


 私が話しかけると、お母様は微笑んでくれた。


「お母様、今回は、心配をおかけしてしまい申し訳ありませんでした」


 お母様にあったらまず謝る。前から決めていたことだ。

 ちなみに今回のこととは山籠もりの件である。


「ウフフ、いいのよユリシア。あなたが元気に戻ってきてくれたのだから」


 良かった。怒られなかった。


「ところで、ユリシア。今は、何をしていたのかしら」

「私が連れ帰った孤児たちと勉強をしていただけです」

「孤児たちと…… でも連れ帰ってきたその子たちをユリシアはこれからどうする気なのかしら?」


 お母様は平民への偏見がほぼないと言っていいほど少ない人だから私が孤児を拾ってきたとしても別に捨ててきなさいと言われるような人ではない。ただ、私が彼らをどうするかが気になっているようだった。


「今のところ、男の子は、騎士として、女の子は侍女として私に仕えてもらうつもりです。お給金は私の使っていないお小遣いから出すつもりです」


 さすが大貴族ということか、私の毎月の仕えるお金はお小遣いといってはいけないような額になのだ。それこそ、平民の十世帯以上が一年間過ごせるぐらいの。


 そのお小遣いは、ドレスを買ったり宝石類を買ったりなど自分を磨くために普通の貴族の令嬢は使うのだろうが、私はあまり興味がなく、必要最低限のことにしか使わないから今までのお小遣いが大量に残っているのだ。というか、私は絢爛豪華(けんらんごうか)なのより侘び寂び(わびさび)のような日本の落ち着いた感じの方が好きというのも理由にある。ついでに、あんまり身支度に時間をかけたくないし、基本的に私は動いていることが多いから楽な格好をしているというのもある。


「そう。それならいいわ」

「ありがとうございます」

「――あ、そうだわ。ロスタ、あなたもここで一緒に勉強しなさい」

「え、お姉さまと一緒に勉強できるのですか」

「そうよ」

「やります。是非やります」


 ロスタはお姉ちゃん大好きっ子なのよね。ま、私もロスタのことが大好きなのだけど……

「ロスタは、私以外の6人と一緒にやってね」

「え!お姉さまと一緒の勉強をさせてくれないのですか」

「私が今勉強している内容はロスタにとっては難しいと思うから」

「えー!」


 顔を膨らませていじけているロスタも可愛いわね。


「でも、リリアとの勉強が一通り終わったらいっよに勉強できるわよ」

「本当ですか?」

「本当よ。私もリリアから基本の勉強を教わったから今の勉強をしているのだし」

「分かりました。けど、終わったら一緒にしてくださいね。約束ですよ」

「ええ、約束するわ」

補足

ユリシアは医学以外にも並行して他国語の勉強をリリアから受けています。

孤児たちの名前は考えてあるのですが、今は必要ないと思ってい出しませんでした。

この時点で、ユリシアに仕えることになったのだな程度の認識で十分です。


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