16 森
数時間後、私は森の中にいた。なぜかって。
楽しそうだったからに決まってるじゃない。まぁでも、なんでそんなことを思ったのか、理由はわからないのよね。あえて言うのなら本能的に?
詳しく状況を説明すれば――
私は男たちをロープで縛り終えた後、クイナと話していた。
「クイナ、そういえばここってどこの洞窟なの?」
「アクシス公爵領とイフリート伯爵領の間にある山脈の麓近くにある洞窟です」
「そうなんだ」
アクシス公爵領とカレンのいるイフリート伯爵領の間にある山脈は、南北に連なっていてとても大きなものだ。
「とりあえず一度外に出てみましょうか」
「はい。わかりました」
そして、私たち外に出ました。で、私の好奇心がくすぐられてしまったのです。いやあ、あのですね。とても面白そうな森だったんです。
私前世では、田舎も田舎、一歩踏み出したらもうそこには、森が広がっているような場所で育ったんです。なので、野山を駆け回るのは、大好きなんですよ。ついでにその生まれ変わりである私もそういうことは、受けたいでいるわけで……
「あのさ、クイナ」
「なんでしょう」
「私、山籠りしようと思う」
「え、良く聞こえませんでした。もう一度お願いします」
「だから、一ヶ月ぐらい山の中で生活する」
これはもう私の中での決定事項です。
「やめてください、そんなこと」
「無理。絶対する。というかこんなことしてる場合じゃない。早く準備しないと」
そうして私は一度洞窟に戻り、動きやすい山賊の服と剣それと短剣を拝借して山籠りの準備をした。
「じゃあ私はいくね。私の侍女か、衛兵が来たらよろしく言っといて」
なんとなくのは勘だけど、すぐ誰か来る気がしたのよ。
「え、あ、あの」
「あ、そうだ。私が戻って来たら、クイナには罰を受けてもらうからね。私に剣を向けた罰」
「え!?」
私は、そう言ってその場を離れた。
――ということで、クイナに後のことは丸投げして山籠りスタートです。
で、今何をしているかというと川を探しています。やっぱり、まず大事なのは、水。水がないと人間生きられないし。
大きな山脈だから、湧き水の一つや二つあると思うんだよね。
というわけで水探し。ついでに食べられそうな果物もないか探しつつね。鹿でも、猪でもいればいいのだけれど。
ま、そんなこんなで、私の山籠り生活が今、始まります。
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