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15 クイナ

少し短いです。

「何を言っているんだ」

「言葉が、少なかったかしら。私はね、貴方が気に入ったのよ。簡単に言えば、貴方が欲しいの。

  だからね、ここでミユルという名前の人物は、消えるけど命は取らない。そして、新しい人物として私に仕えて生きるということよ」


 私は、とても彼女のことを買っていた。他に、暗殺者を知らないから、比べようがないけど、ミユルの腕が相当なものだということは、分かる。それに、一人ぐらい暗殺者を持っていた方が何かと将来役立ちそうだからね。


「二人目だな」

「二人目って?」


 ミユルの言葉に、首を傾げた。


「私を欲しいと言ったやつが二人目なんだよ」


 へえー。私以外にもミユルを欲しいと言った、人がいたのね。


「一人目は、私の前の主人だった方だ」

「前の主人って」


 私と、同じようにミユルを欲しがった人物に興味が湧いた。


「私の前の主人の名は、シャーロット・オル・エマリス。今は亡きエマリス王国の第一王女で、『銀龍』とも称される程の方だ」


 エマリス王国。

 確か十年程前まで、タリア王国の北に存在しており、王族が全員死亡したことで国が乱れ、その隙にエマリス王国のさらに北に存在していたボスマン帝国に侵攻を許し滅亡したと、リリアが言っていた国。

 また、タリア王国とエマリス王国は、もともと一つの国であり、その国での王位継承争いで国が二つ別れ、北がエマリス王国、南がタリア王国になったという歴史を持っている。


 閑話休題


 でも、一箇所だけ亡エマリス王国の領地で、ボスマン帝国に占領されずに独立を果たした地域があるのよね。そこまで、広い地域というわけではないし、どうやって独立できたのか気になるわね。まあ、私の予想だけどお父様が関わっているような気がしてるのよね。なにせ、アクシス公爵領の北の地域だから。


「ミユルという名も、シャーロット様に付けてもらった」

「そう、分かったわ。

 じゃあ選ばせてあげる。私に仕えるのか、この場で死ぬのか」

「そんなの選択肢としてなってないじゃないか」

「へ?」

「お前みたいな面白い方に仕えなくてどうする」

「じゃぁ私に仕えてくれるのね」

「はい」


 ミユルは、私の方を向いた。


「私は、ミユルという名を捨て、主人に誠心誠意仕えさせていただきます」

「ありがとう。私からは新しい名前をあげるわ。貴方の新しい名前は、クイナよ」


 彼女なんだか忍者みたいだから、忍者の武器のクナイをいじって、クイナ。うん、まあまあかな。


「クイナですか。わかりました、主人様。では、クイナと名乗らせていただきます」

「あ、あと主人様はやめて。私のことは、ユリシアと呼んで」

「はい。ユリシア様」


 私は、うんうんと頷いた。


「さてと、これどうしましょうか」


 私は、周りを見渡して言った。

 私たちの周りでは、男たちが、意識をなくして、転がっていたのだった。二人程死んでるけど。


「うーん。なんだかもうちょっとしたらイリスが、来そうな気がするし。とりあえず、縛っちゃいましょうか」

「わかりました」

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