13 女
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「な、何なんだよお前」
「何って、普通の公爵家令嬢だけど」
私に怯えて尻もちをついた男に微笑みながら答えた。
「そんなわけあるか。貴族の令嬢がこんなに強いわけないだろ」
「いや実際いてるわけだし、目の前に」
いるのだから仕方ないわよね。
私はすでに二十人ほどの男たちの意識を奪っていた。で、結局残っているのが、私の目の前で尻もちをついて怯えている男と私を屋敷から攫ってきた女、そして……
「おらー」
このいま私に襲い掛かってきた、山賊の頭の男だけだった。というか、声出して襲い掛かったら奇襲の意味ないよね。まあ、私は足音で気づいていたんだけどね。
てなわけで、私は、持っている剣を後ろで軽く横に払った。しかし……
「あ、ヤバ」
さっき気が付いたのだけど、この人たち弱すぎて、私が剣を振っただけで、殺しそうになっちゃうのよね。私の剣の方が早いから、男たちがガードしようにもその前に私が振り終えちゃうのよ。
で、今山賊の頭の男に対して普通に振っちゃったわけで、結果から言うと、男の顔と胴が分かれてました。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。
本当に殺しちゃうとわ。少し気になることを言っていたから、意識を奪うだけにしたかったのだけど。
それで、私の前で、尻もちついて怯えていた男だけど、私がそっちを向いた時には気絶してました。
私、あなたに何もしなかったよ。あーでも、山賊の頭が一撃で殺されっちゃったことがショックだったのかな。まあ、いいや。
さてと、
「あとは、一人」
私は女の方を見た。
「さて、どうしましょうか……」
「私、逃がしてくれない。こいつ等に雇われただけなのよ。ねえ、お願い」
女は、手を擦り合わせて私の方にお願いしてきた。しかし、私の答えは決まっていた。
「駄目よ」
即答です。もちろんです。今更、命乞いとか遅いです。
「あなたは直接私を攫った実行犯なのですから、しっかりと罰は受けてもらいます」
「そっか、仕方ない。やりたくなかったのだけど……」
女は、二つの短剣を持った。
うん、さっきの男たちとは、明らかに違う。妙に短剣を持ちなれている感じ。
やっと、ましな人と戦える。あ、にやけてしまった。
「何笑っているんだ」
「いや、やっと面白そうな人と戦えると思って」
「戦闘狂かよ」
「言われてみれば、そうかもね」
「まあ、楽しめないと思うが」
「?」
私は女の言葉に首を傾げた。
「なぜ」
「なぜかっていうとな……」
女は、私の方に短剣を転がした。
「なんのつもり?」
「簡単なことだよ」
女は、いきなり膝を地面について頭を下げた。
「投降します。だから、命だけは助けてください」
「……」
私は、一瞬彼女が何を言ったのか理解できていなかった。
「はあー。分かったわ。じゃあこれから私の命令に絶対従いなさいね」
「はい、わかりました」
言質はとった。
「じゃあまずは、そのままの態勢でいなさい」
私は、そういうと、彼女の方に近づいていった。
私と彼女の距離が近づいた瞬間、彼女が私の方に何かを投げつけてきた。
私は、もともとそんな予感がしていたので、それを視認してから、彼女の投げつけてきたものを避け、背後に回り込み、剣を喉元に突きつけ、
「チェック」
小さく呟いた。
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